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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科49巻3号

2014年03月発行

文献概要

書評

『神経ブロックのための3D解剖学講座』 フリーアクセス

著者: 成澤弘子1 牧裕1

所属機関: 1新潟手の外科研究所

ページ範囲:P.225 - P.225

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 本書は主にホルマリン固定の献体標本において神経ブロックの対象となる末梢神経を丁寧に展開し,さまざまな角度から実写撮影したマクロ解剖書であるとともに,神経ブロック手技についての解説書である.岡山大学とパナソニック社が共同開発した多視点多層3D解剖映像を用いた鮮明な写真が多数掲載されている.頭頸部,腕神経叢,体幹,腰下肢について,神経ブロックに必要な部位がほとんど網羅されている.固定標本ではあるが,末梢神経のマクロ解剖としては鮮明な実写ならではの情報量の多さが特徴的である.複数方向から撮影されているので神経の走行のみならず,筋など周囲組織との解剖学的位置関係が容易に理解できる.また,一部にステレオ写真も掲載されていて,平行法による立体視が可能である.さらに,超音波ガイド下神経ブロックを意識して,解剖写真と超音波画像との対比,超音波画像における解剖説明などがわかりやすく実践的に解説されている.

 神経ブロックの臨床現場に超音波装置が導入されたことにより,多くの医師が神経ブロックを正確かつ安全に行えるようになった.それでも神経ブロックを的確に行うには末梢神経の解剖を十分に理解し,3次元的にイメージできなくてはならない.手術などで末梢神経を直接見る機会が多い整形外科医にとっても,本書の実写による神経解剖は,系統的かつ臨床的に解説されており神経ブロックに必要な神経解剖の理解が得られやすい.固定標本のため脈管系が虚脱しているので実際のイメージと多少異なる感はあるが,超音波画像が随所に掲載されており脈管系との位置関係も解説されているので問題はない.さらにランドマーク法,超音波ガイド下法のいずれに対しても刺入位置,方向の解説がされているので,直ちに臨床に応用できる.3次元的な位置関係の理解は神経ブロックを行ううえでは大変重要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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