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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科49巻4号

2014年04月発行

文献概要

誌上シンポジウム 整形外科外傷治療の進歩

皮膚欠損を伴う脛骨開放骨折の治療―応急処置とdefinitive surgery

著者: 土田芳彦1

所属機関: 1湘南鎌倉総合病院外傷センター

ページ範囲:P.325 - P.332

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 皮膚欠損を伴う脛骨開放骨折の治療は難しい.患肢の機能的温存が目標だが,その前に生物学的温存が達成されなければならない.そのためには「阻血回避,感染回避,壊死回避」が必要であり,早い血行再建の次に重要なことは十分なデブリドマンである.1回で終わらせる一期的デブリドマンは難しく,多数回施行の繰り返すデブリドマンでは残存壊死組織により感染が生じやすい.そこで,両者の中間とも言える「最大でも2回で完了するデブリドマン」が理想的である.早く確実なデブリドマンが再建の前提条件である.

 デブリドマンを含めた適切な初期治療の次に,確定的骨・関節・軟部組織再建が行われる.この骨・関節再建の成功の鍵は軟部組織再建が十分に行われるか否かにかかっている.

 骨欠損と軟部組織欠損はその程度によりさまざまな組み合わせがある.欠損が同部位,同程度の場合,骨欠損のほうが大きい場合,軟部組織欠損のほうが大きい場合など,その組み合わせにより再建方法は異なる.

 通常は,軟部組織欠損が骨欠損より大きいため,常に皮弁形成術による再建を念頭に置く必要がある.軟部組織欠損の状態を過小評価することは治療の失敗へつながる.もし皮弁形成術が十二分に成功すれば,骨接合と骨欠損に対する治療は自由に施行できる.脛骨開放骨折の治療は軟部組織再建にかかっている.

参考文献

1) Lowenberg DW, Feibel RJ, Louie KW, et al:Combined muscle flap and Ilizarov reconstruction for bone and soft tissue defects. Clin Orthop Relat Res 332:37-51, 1996
2) Masquelet AC, Begue T:The concept of induced membrane for reconstruction of long bone defects. Orthop Clin North Am 41:27-37, 2010
3) 土田芳彦,浅井康文,斎藤丈太:皮弁形成術による重度下腿開放骨折の治療結果の検討.日本救急会誌15:537-545,2004
4) 土田芳彦:重度四肢開放骨折に対する早期皮弁形成術.日本マイクロ会誌19:305-312,2006
5) 土田芳彦:最大でも2回で完了するデブリドマンによるGustiloⅢB下腿開放骨折治療.日本創外固定・骨延長学会雑誌(in press)
6) Yazar S, Lin CH, Lin YT, et al:Outcome comparison between free muscle and free fasciocutaneous flaps for reconstruction of distal third and ankle traumatic open tibial fractures. Plast Reconstr Surg 117:2468-2475, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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