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連載 いまこそ知りたい臨床医に必要な放射線の知識Q&A・4
Q4 医療被ばくについて 1.現状
著者: 鈴木啓司1 山下俊一1
所属機関: 1長崎大学原爆後障害医療研究所社会医学部門放射線災害医療学研究分野
ページ範囲:P.374 - P.375
文献購入ページに移動1895年11月8日にレントゲン博士によって発見されたX線は,数年の後にはX線撮影装置として画像診断に利用されるようになりました.以来,120年あまりが経とうとする今日,放射線診療の技術は目覚ましい発展を遂げ,高度な画像診断や放射線治療が可能になっています.その一方で,これら放射線診療に伴う放射線被ばく,いわゆる医療被ばくの問題が取り上げられることも多くなりました.2004年のLancet誌に掲載された論文で,日本における医療被ばくが他国と比較して高いレベルにあることが報告され,マスコミによる報道をきっかけにして国内に巻き起こった大きな騒動は記憶に新しいところではないでしょうか.そこで,本シリーズでは,医療被ばくの現状を国内や国外に目を向けて眺め,その防護についても考えていきたいと思います.防護の三原則は距離,時間,遮蔽ですが,医療で放射線を使う場合は,放射線のリスクよりもはるかに診断や治療に有益であるという医療行為の正当性が遵守されるという大前提から,医療被ばくの線量限度が設けられていないことに十分配慮する必要があります.
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