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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科49巻6号

2014年06月発行

文献概要

連載 いまこそ知りたい臨床医に必要な放射線の知識Q&A・6

Q6 放射線防護―世界の考え方

著者: 鈴木啓司1 山下俊一1

所属機関: 1長崎大学原爆後障害医療研究所社会医学部門放射線災害医療学研究分野

ページ範囲:P.536 - P.538

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放射線防護の基本原則

 医療分野における放射線利用が急速に拡大し,海外ではこれに警鐘を鳴らす論文や記事も増えてきました.国内では,東京電力(株)福島第一原発事故に関連して医療被ばくへの関心も高まっています.診断や治療によって放射線被ばくを受ける患者さんは,原則種々の便益を受けますので,医療における放射線被ばくについては,画一的な線量限度を設けるのではなく,医師の行為が正当化され,最適の実施判断が求められています.患者さんにとっては,直面している健康問題を解決することが最も重要であり,その結果として将来起こるかもしれないリスクについて判断することは実際には困難です.ですから整形外科領域においても医師自身が医療被ばくに対して適切な知識と対応が求められます.今回は,医療被ばくにおける放射線防護について考えます.

 放射線防護の基本的考え方は,国際放射線防護委員会(ICRP)が発行する勧告の中に示されています.その中で,最も基本的な原則が,表1に示す放射線防護体系の3原則ですが,このうち線量限度は,医療被ばくの場合には,これを設定することによって患者さんへの便益が損なわれることがあることから適用されません.したがって,その分,正当化や最適化が,一般的な放射線防護と比較してより一層重要になるわけです.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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