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論述
頸部椎間板症の治療成績—とくに放置例を対照として
著者: 佐々木正1 平林洌1 有馬亨1 浅井博一1 高橋惇1
所属機関: 1慶応義塾大学医学部整形外科学教室
ページ範囲:P.107 - P.116
文献購入ページに移動頸部椎間板症の手術療法はSmith & Robinson28)(1957),Cloward4)(1957)が椎体前方侵襲法を開発して以来,数多く追試され,普遍化してきた.それまでに行なわれていた椎弓切除術とあいまつて,近年本邦においても多くの椎体前方固定術に関する手術成績の報告を見る.しかるに保存的療法,とくに放置例についての検討は少ない.
今日ややもすれば,頸部椎間板症に対して観血的治療にはしりすぎるきらいなしとしない.つまり放置,もしくは保存的に治療しても寛解,もしくは治癒をみたかもしれない症例にまでも手術をしているのではなかろうか.他方,手術効果の上らない症例も少なくない.周知のとおり,脊髄症状を呈したものは発症後経過期間が長いものほど予後は芳しくないのであり,保存的治療で時間を浪費することは許されない.
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