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雑誌目次

雑誌文献

臨床整形外科5巻4号

1970年04月発行

雑誌目次

骨腫瘍カラーシリーズ

13.Desmoplastic fibroma/14.Glomus tumor

著者: 骨腫瘍委員会

ページ範囲:P.251 - P.254

症例18:18歳,男,主訴は左膝関節部痛である,昭和44年4月10日ころよりなんら誘因なく左膝部の運動痛を訴え,5月1日某医を受診したところ,X線学的に左大腿骨の異常を指摘され,5月9日当科に紹介された.5月30日に試験切除術施行6月18日掻爬骨移植術を受け経過良好である(徳大).
症例19:36歳,男,昭和43年4月左膝関節部痛にて某院を訪れ,X線検査の結果,左脛骨上端に偏在性の骨融解像を認めたが,症状軽微のため放置していた.昭和44年5月再び同部の疼痛を訴えて来院,脛骨粗面部に圧痛を認めた.X線像は前回のものとほとんど同じであり,良性の骨腫瘍を疑い病巣掻爬骨移植術を施行した.摘出標本は弾性硬、光沢を有する軟骨様組織であった(横浜市大).

視座

学会の追想

著者: 青池勇雄

ページ範囲:P.255 - P.255

 今年の学会総会が昨年来の臨時総会の失敗などから,はたしてうまく運営できるだろうかと危ぶまれていたけれども,会長の周到な計画と準備の上に,手際よく運営されて,無事に,しかも盛会裡に終り,まことに結構なことであって,会長さんの御苦労に感謝しているしだいである.
 4つの会場に分かれたので,あれもこれも聞こうと望んだ人には不便であったけれども,第1会場はガラガラに空いていて,もつたいないようであった.

論述

乳幼児先天股脱の造影像(第1部)

著者: 山田勝久 ,   小川英一 ,   今村清彦 ,   吉田元久 ,   佐藤功 ,   内田雅夫 ,   土屋弘吉

ページ範囲:P.256 - P.267

はじめに
 先天股脱に対する治療法は最近約半世紀ほどの間にLorenzギプスから,リーメンビューゲル,von-Rosen Splintによる治療に至るまでめまぐるしく変遷して来た.これら治療法の変遷は,実は患児の年齢が若くなつてきたこととそれに伴つて亜脱臼,Dysplasie,Preluxation,脱臼準備状態など種々な名称でよばれる軽度の異常股関節が対象になつてきたためであろう.高度なものより軽度なもの,新生児より成人までと多彩な組合せで異常股関節が発見される現在では,すべての患児に同じような治療を行なうわけにはいかない.しかも先天股脱の治療にあたつては,同程度,同年齢の異常股関節でも各関節は独自性をもつているため画一的な治療を避け,それぞれの関節の状態を充分に把握し,個別にもつとも適応した治療を行なわねばならない.最近のように患児が乳児期に発見されることが多くなつてくると,診断,治療の両面での股関節の検討には股関節造影の知識は欠かせないものになつてきた.

境界領域

整形外科領域における遺伝学

著者: 古屋光太郎 ,   大倉興司

ページ範囲:P.268 - P.282

I.病因としての遺伝
 生物個体はその発育過程において遺伝的要因genetic factorと環境要因environmental factorの影響をうけている.遺伝的要因は受胎時に決定され,生涯ほとんど変わることはないが,環境要因は絶えず変化する.そして人間の疾患あるいは異常においても程度の差こそあれ,これらの要因が互いに関与している.かかる観点より病因をみると究極的に次の3つに分けることができる.すなわち 1)遺伝的要因 genetic factor,2)遺伝および環境要因の相互作用 interaction of genetic and environmental factors,3)環境要因 environmental factorである.

紹介

膝の同種骨移植術

著者: ,   ,   弓削大四郎

ページ範囲:P.283 - P.289

 近年,股関節,膝関節,あるいは指関節の強直や骨破壊を伴つた高度の関節症に金属の人工関節による関節置換術が行なわれるようになつた.しかし,同種骨の保存関節がうまく利用できればという考えかたは訳者を含め,多くの整形外科医のなかにもあるのではないだろうか,そして,この考えを勇気づけるVolkov教授の論文を読み感銘をうけ,早速Volkov教授の翻訳許可を得て,皆様に紹介するしだいである.本論文は,Revue de Chirurgie Orthopédique et Réparatrice de l'Appareil Moteur, Tome 55, No. 1, 3-12, 1969に仏文で発表されたものである.

臨床経験

5指手症の治験例

著者: 山屋彰男 ,   矢部裕 ,   月村泰治

ページ範囲:P.290 - P.294

 5指手症はKümmell11)(1989),本邦においては中島15)(1935)の報告例中に見られるものがはじめと思われる.われわれは比較的珍らしい5指手症にBarsky法とRiordan法を組合せた手術を行ない,比較的良好な結果を得たので,その成因と手術方法について多少の考察を加えて報告する.

いわゆる変形性脊椎症の成因(1)—とくに腰椎椎体動脈の変化を中心として

著者: 辻陽雄 ,   重広信三郎 ,   松井宣夫 ,   上原朗 ,   高田典彦

ページ範囲:P.295 - P.305

いとぐち
 いわゆる変形性脊椎症の発生がRokitanskyに始まる一次的椎間板変性に基づくものであるということは,骨棘の明らかな形成例において椎間板変性を併つている事実や,実験的椎間板損傷実験から察知される.
 しかし,次報でのべるごとく骨棘形成の初期段階では,さらに他の因子を考慮せねばならぬ余地のあることを著者は指摘した.

腰椎にみられるphantom nucleusについて

著者: 荒井三千雄 ,   荻野嘉見

ページ範囲:P.306 - P.312

 近年,椎間板に関する研究が盛んとなり,とくに椎間板造影などから得られる知見はその病態解明に資するところが大きい.しかし椎間板造影法の診断的価値に疑問を表明する人5)もあり,また椎間板の変性が加齢的現象として避け得ぬものであつても,この種の検査が変性を助長する可能性は否定できない.椎間板変性の有無は骨棘形成,骨硬化,椎間の狭小等の二次的変化からある程度推察できる場合が多く,また,Wilson12),Gershon-Cohen4)らのいうphantom nucleusもその臨床的な把握に役立つ所見の1つであると思う.ここに経験例を示し,出現機構などについて考察を行なつてみたい.

月状骨軟化症の治療

著者: 渡辺健児 ,   広島和夫 ,   多田浩一 ,   加賀完一

ページ範囲:P.313 - P.318

 月状骨軟化症が1910年Kienböckによつて外傷性月状骨壊死として報告されて以来,その発生病理や治療を中心としていくつかの検索発表がなされてきたが,現在なお成因に関して定説はなく,治療法も確立されていない状態である.
 昭和33年から昭和年42年までの10年間の月状骨軟化症治療例は24例(男22例,女2例)で手術時平均年齢は28.8歳(15〜63歳)である.

環椎横靱帯付着部剥離骨折と思われる1例—上位頸椎損傷 第3報

著者: 津布久雅男 ,   小林慶二 ,   望月研一

ページ範囲:P.319 - P.322

はじめに
 環椎の骨折や脱臼については,すでにいくたの報告があり,受傷機転や発生機転また臨床症状,治療なども詳細に論じられている.われわれは上位頸椎損傷についてとくに注目し,すでに歯突起骨折の14症例を集め報告し,さらに発生機転についての実験的研究を行なつている.最近,極めてまれな環椎横靱帯付着部剥離骨折を1例経験したので報告する.

いわゆるDécortication(Judet)法の経験—偽関節,遷延治癒骨折,変形治癒骨折23例の治験

著者: 菅野卓郎 ,   阿久津寿一 ,   関宏 ,   冨士川恭輔 ,   内西兼一郎

ページ範囲:P.323 - P.329

 R. et J. Judetはすでに数年前より偽関節,変形治癒骨折,骨延長術などに対し,いわゆるDécortication ostéo-musculaireという独特の方法を用い,その優秀性を報告し,第41回日本整形外科学会総会においても招待講演をした.すなわち本法は従来の遊離骨移植法と異なり,病変周囲の骨皮質表層を筋,骨膜,瘢痕組織などに付着したまま切離し,これによつて仮骨形成を促そうとするいわば有茎骨移植の原理に基づいたものである.われわれは偽関節,遷延治癒骨折,変形治癒骨折23例に本法を試み,満足すべき成績を得たので報告する.

基本情報

臨床整形外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1286

印刷版ISSN 0557-0433

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