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臨床経験
ユーイング肉腫と鑑別困難であつた肩甲骨細網肉腫の1症例
著者: 川村碩彬1 月村泰治1 芝田仁2 笠原正夫3
所属機関: 1浜松療護園 2慶応義塾大学医学部整形外科学教室 3慶応義塾大学医学部病理学教室
ページ範囲:P.636 - P.641
文献購入ページに移動1921年J. Ewingが血管性もしくは血管周囲性の内皮細胞より発生し,一連の臨床的特徴を有する円形細胞肉腫を報告して以来,今日までユーイング肉腫およびその周辺に関する知見が数多く述べられている.
一方Jackson and Parker(1939)らは発生年齢,臨床症状,良好な予後に加えて病理組織像の特徴から,ユーイング肉腫など既存の骨腫瘍と異なる独立疾患として骨細網肉腫(reticulum cell sarcoma of bone)を報告した.その後Stout(1943)およびGeschickter, Copeland(1949)らが骨細網肉腫とユーイング肉腫は同一の腫瘍であるとの見解を示したのに対して,Schajowicz, Vall, Musculo(1952),Ivins & Dahlin(1953),Francis(1954),Magnus(1956),Schajowicz(1959)らは病理組織学的および組織化学的検索により,骨細網肉腫とユーイング肉腫とを別個の腫瘍と考えるべきであるとの見解を発表し,今日両者は一応別個の腫瘍と考えられている.
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