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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科50巻1号

2015年01月発行

文献概要

論述

骨粗鬆症性椎体骨折遷延癒合,骨癒合不全の保存的治療方法

著者: 黒木秀尚1 當天賢子2 青木孝3 山田清貴4 岡村洋5 西山賢治6 水野尚之7 佐々木浩文2 十時龍8 世良哲9

所属機関: 1黒木整形外科リハビリテーションクリニック 2中国労災病院整形外科 3のぞみ整形外科クリニック 4JA広島総合病院整形外科 5岡村医院 6西山整形外科胃腸科 7広島鉄道病院整形外科 8三菱三原病院整形外科 9府中北市民病院整形外科

ページ範囲:P.11 - P.20

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 背景:骨粗鬆症性椎体骨折の遷延癒合や骨癒合不全の治療法は確立していない.

 方法:2000年から253例をJewett型硬性コルセットを用いて保存的に加療し,1年間以上前向きに調査検討した.16例が椎体内にvacuum cleftを有する遷延癒合か骨癒合不全となったが,コルセットを平均17.8カ月間装着し治療を継続した.

 結果:腰痛は平均12カ月で消失し,vacuum cleftは受傷後平均22カ月で消失した.骨癒合は隣接椎体との仮骨架橋癒合・骨橋によって受傷後平均20.7カ月で完成した.後弯変形は平均36.4°であったが全例受傷前と同様のADLを獲得できた.

 結論:骨粗鬆症性椎体骨折は重篤な神経障害がない限り保存的に治療すべきである.

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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