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雑誌目次

雑誌文献

臨床整形外科50巻10号

2015年10月発行

雑誌目次

誌上シンポジウム 人工骨移植の現状と展望

緒言 フリーアクセス

著者: 吉川秀樹

ページ範囲:P.934 - P.934

 1980年代から,整形外科,歯科口腔外科領域における骨補塡剤としてハイドロキシアパタイト人工骨が使用され始めた.当初のハイドロキシアパタイト(HA)は,内部に有効な連通気孔構造を持たないため,内部に十分な骨新生が起こらなかった.骨形成細胞や血管が十分通過できる大きさの連通孔と適度の初期強度を有する人工骨が理想とされ,2003年,気孔間連通孔構造を有するHA人工骨が開発された.その後,骨伝導能に優れ,骨への置換が比較的早いβ-リン酸3カルシウム(β-TCP)が開発され,広く臨床使用されてきた.さらに,ミクロポアを有する3重構造人工骨(HA,β-TCP),配向性を有するHA人工骨,緻密体と多孔体の複合体HA人工骨,HAとcollagenの複合体人工骨など,次々に新規人工骨の開発,臨床応用がなされてきた.現在では人工骨移植は,その低侵襲性,優れた組織適合性や骨伝導性,簡便性などから,種々の整形外科手術において,自家骨移植に置き換わりつつある.

 本誌上シンポジウムでは,各種人工骨の長所と短所を知ること,整形外科の臨床の場で適正な使用を行うことを目的として,その開発や臨床応用に直接携わった先生方に執筆いただいた.

連通多孔体β-リン酸3カルシウム(β-TCP)人工骨移植

著者: 生越章 ,   川島寛之 ,   有泉高志 ,   近藤直樹 ,   山岸哲郎 ,   渡辺慶 ,   平野徹 ,   堀田哲夫 ,   遠藤直人 ,   畠野宏史 ,   佐々木太郎 ,   小林宏人 ,   守田哲郎

ページ範囲:P.935 - P.942

 1999年から2012年までにβ-リン酸3カルシウム(β-TCP)を使用した整形外科手術714例に対し,合併症を含め後ろ向きに調査した.骨腫瘍(263例)に対して使用した症例では術後早期の骨折が3例にみられたが,遅発性の骨折や変形,術後深部感染は生じず良好な成績が得られていた.β-TCP移植を行った脊椎手術(350例)では3例に術後感染が生じ,5例に再固定手術が施行された.関節疾患,骨折に対して移植を行った101例では深部感染は生じなかった.画像判断の可能な例ではいずれも移植β-TCPと周囲骨とは連続性がみられ,症例によっては継時的にほぼすべてが吸収され新生骨に置き換わっていた.β-TCPは吸収されつつ自家骨形成が生じる優れた骨補塡材料であり,整形外科手術に用いた場合,感染率の上昇などの危険性は少ないと考えられた.

連通多孔体ハイドロキシアパタイト移植

著者: 玉井宣行

ページ範囲:P.943 - P.950

 人工骨はその誕生から約30年経過し,緻密体の第1世代の時代から高気孔率・連通気孔構造を有する第2世代の時代に突入している.これらは非常に優れた骨伝導能を有するものの自家骨に取って代わるまでには至らず,骨形成能,強度の面で整形外科医の心をつかんでいないのも事実である.本稿では現在上市されているハイドロキシアパタイト人工骨を中心に,その基本構造から臨床成績までを紹介したうえで,第2世代人工骨の長所・短所を考察する.さまざまな理由から同種骨の使用が難しいわが国が発信すべき“誰もが認める第3世代人工骨とは”について考える契機になればと思う.

配向連通性人工骨移植

著者: 坂根正孝

ページ範囲:P.951 - P.957

 径100〜300μmの楕円形の連通孔が材料全体を一方向に貫いている(配向連通多孔)構造を持つハイドロキシアパタイト(HAp)人工骨の特徴は,強度や材料内骨形成に異方性があり,材料内に形成された骨が長期にわたりリモデリングされること,内部に骨単位(Osteon)様の構造を形成すること,HApでありながら,移植部位の力学的・化学的環境により長期的に自家組織に置換されることである.構造を生かした臨床応用例と,再生医療の担体としての可能性を紹介する.

多孔質ハイドロキシアパタイト・コラーゲン複合体(HAp/Col)

著者: 早乙女進一 ,   阿江啓介 ,   松本誠一 ,   新井嘉容 ,   真鍋淳 ,   小柳広高 ,   吉井俊貴 ,   大川淳

ページ範囲:P.959 - P.966

 多孔質ハイドロキシアパタイト・コラーゲン複合体(HAp/Col)は,高い骨伝導能と生体吸収性を有した骨補塡材で2013年から発売が開始された.スポンジ状の弾力性を持ち合わせ,優れた操作性と骨欠損への適合性に寄与する.臨床治験では副作用の発現率がやや高かったものの,骨形成に関しては既存のβ-TCP製骨補塡材料以上の評価が得られた.発売後,使用件数は増加し続けているが,これまで大きな有害事象の報告はない.また,発売後はさまざまな用途,量で使用されているが,骨欠損の大きさ,部位など,欠損部の状態を評価したうえで使用すべきである.

リン酸カルシウムセメントにおける臨床応用

著者: 武政龍一

ページ範囲:P.967 - P.972

 リン酸カルシウムセメントは,使用時ペースト状であり,シリンジから注入充塡操作が可能な独自の性質を有する人工骨であり,硬化後は約80MPaもの高い圧縮強度を発揮する水酸アパタイトとなる.空間の細部充塡性に優れ,荷重を支える強度があるため,椎体形成術などの脊椎荷重部への低侵襲手術に最もよい適応がある.ペーストが硬化し,最大圧縮強度に到達するまでの時間は,これまで4回の改良により当初の7日間から8時間にまで短縮し,早期荷重が可能となったことは大きな進歩である.血液の混入による自己硬化能劣化の短所は,手術手技の工夫により克服可能である.

脊椎外科における人工骨移植

著者: 藤林俊介

ページ範囲:P.973 - P.979

 脊椎固定手術においては一般的には骨移植が必要となる.骨移植には,神経除圧の際に得られる切除骨を用いる局所骨移植と,腸骨や腓骨に新たな手術侵襲を加えて採取する骨移植がある.局所骨移植には移植骨の質と量の問題があり,骨癒合を得るためには十分な量の骨を移植する必要があるため,時として人工骨を混合させた骨移植が行われる.しかしながら,腸骨や腓骨からの骨採取には新たな手術侵襲が必要であり,採骨部痛,採骨部感染などの問題が生じる.脊椎手術に用いる人工骨は使用する部位や形状に応じた選択が重要である.また人工骨にはハンドリング,骨伝導性や骨誘導性において自家骨に劣るという問題点があり,自家骨を上回る人工骨の出現が期待されている.本稿では本邦で行われている脊椎手術における人工骨移植の現状と今後の課題と展望,諸外国における現状,そしてわれわれの施設における脊椎手術用人工骨の開発などについて紹介する.

視座

多施設研究の意義—regional, all Japan, global

著者: 松本守雄

ページ範囲:P.933 - P.933

 Robert Brophyらの2009年の調査によると,整形外科領域の多施設研究は他の領域と比べても明らかに少なく,Journal of Bone and Joint Surgeryでもわずか7.7%で,New England Journal of MedicineやLancetの40%の足下にも及ばない.しかし現在,整形外科領域の国際学会では多施設研究が急速に増えてきている印象がある.私が専門とする脊椎の分野でも,非常に活動的に多施設研究を行っている国際グループがあり,年に数回メンバーが集まって,朝から晩までリサーチのプロジェクトについて議論しているという.そのメンバーの1人に「なんで君たちはそんなに一生懸命多施設研究をするの?」と聞いたところ,すぐさま“To improve patients' care”という答えが返ってきた.もちろんこれは彼らの主目的であろうが,他に治療法のエビデンスを確立しないと保険の支払いなどに支障を来しうる海外の事情などもあるのだと思う.私たち整形外科医は自らが行ってきた診療が患者の方々にとってベストなものか,もしベストでないならどのように改善していくべきかを明らかにする必要がある.その方策として臨床研究があるわけだが,単一の施設では統計学的解析に耐えうる症例数を獲得するのが困難であり,たとえ可能であったとしても非常に長い年月がかかってしまうなどの問題がある.それを解決する方法が多施設研究である.

 米国では椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの腰椎変性疾患に関する多施設研究であるSPORTなど,多くの前向き研究が行われ成果を上げている.NIHも多施設研究への研究資金を増やしているとのことであるが,わが国でも厚生労働省や日本医療研究開発機構が多施設研究に資金を提供している.整形外科領域では大腿骨頭壊死症や脊柱靱帯骨化症の研究班がその代表であり,all Japanに近い形で多くの多施設研究が行われており,毎年英文誌にも研究成果が報告されている.また,各大学とその関連施設が構成するregionalな研究グループも増えており,わが国でも多施設研究実施への機運が高まっている.

Lecture

腰椎椎間板ヘルニアに対する化学的融解術

著者: 波呂浩孝

ページ範囲:P.981 - P.985

はじめに

 平成25年(2013年)厚生労働省国民生活基礎調査によると,腰痛の有訴率は男性1位(9.2%),女性2位(11.8%)であった.米国では,腰痛に年間2000億ドルの医療コストが発生し1),腰痛の約40%は腰椎椎間板障害が原因で,患者数は年間570万人にのぼることが報告されている7).腰椎椎間板ヘルニアは青壮年期に好発し,急性期には高度の腰下肢痛や神経障害を伴うため,社会経済的活動が大きく制限される.一方で,腰椎椎間板ヘルニアは発症から6週間以内に約70%の患者は疼痛が軽減することが報告されている11).よって,治療の原則は保存療法である.方法は,安静と非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やシクロオキシゲナーゼ(COX)-2選択的阻害剤などが消炎鎮痛目的に投薬されるが,その明らかな有効性は不明である.また,温熱治療や牽引などの理学療法やマニピュレーションについても,エビデンスの構築はない.唯一,下肢症状が強い症例への副腎皮質ステロイド薬の硬膜外注入療法は短期の鎮痛効果として有効性が報告されている2).しかし,いずれも変性椎間板が脊柱管あるいは椎間孔,外に膨隆,脱出して神経根や硬膜管を圧迫し,炎症を惹起するという本疾患の病態に対する根治的治療とは言えない.

整形外科/知ってるつもり

腱板断裂性肩関節症の単純X線学的分類

著者: 濱田一壽 ,   山中芳 ,   内山善康 ,   三笠元彦

ページ範囲:P.986 - P.989

■はじめに

 リバース型人工肩関節の原型は,腱板機能障害に伴って肩関節が破壊された症例に対して1980年代にフランスで開発された.その後,改良が加えられ2002年から欧米で,またアジア諸国では韓国(2006年認可),中国(2008年認可),香港(2011年認可)で使用されている.その術後成績は近年良好になり,術後10年のsurvival rateは65歳未満の症例で76%2),65歳以上を加えると89%と安定した成績が得られている3).わが国では,髙岸憲二委員長をはじめ日本整形外科学会リバース型人工肩関節ガイドライン策定委員会の先生方のご努力で,厚生労働省からのさまざまな要求をクリアして,2014年4月からようやく使用できるようになった.この手術は日本整形外科学会が作成したガイドラインに沿って行われており16),以下にこのガイドラインから絶対的適応を抜粋する.

連載 「勘違い」から始める臨床研究—研究の旅で遭難しないために・9

主観的なアウトカム指標は科学的ではない?

著者: 福原俊一 ,   福間真悟

ページ範囲:P.991 - P.998

 前回まで「疑問の構造化」に関する勘違いについて解説しました.疑問の構造化はPECOの枠組みで考えることが基本ですが,PECOの中でも「O」のアウトカム指標は,最も重要な要素であると言えます.これまでの医学研究では,アウトカム指標はもっぱら客観的な指標が用いられてきましたが,主観的なアウトカム指標は科学的ではないのでしょうか? 今回はこのことについて解説したいと思います.

整形外科医が患者になったとき―整形外科医が受けた整形外科手術

①腱板断裂

著者: 高岸憲二 ,   小林勉 ,   山本敦史 ,   設楽仁 ,   中島邦枝

ページ範囲:P.998 - P.1002

 腱板断裂は肩関節疾患の代表であるが,症状が類似するために五十肩と混同されることが多い.本疾患は保存的療法により症状が軽快しない場合に腱板修復術などの手術の適応となる11).肩関節外科の最近10年間の進歩は,肩関節鏡手術の普及であると言える.

 整形外科の検査法ならびに手術法は,その時代の科学の進歩により大きく変わっていく.筆者は肩関節外科を専門にしているが,2001年と2013年の2度,右肩の手術を経験し,近年の肩関節外科手術の進歩を実感したので報告する.

臨床経験

肘頭骨端離開に対する反転骨移植術の手術成績

著者: 中村結香子 ,   大歳憲一

ページ範囲:P.1003 - P.1008

 背景:反転骨移植術は難治性肘頭骨端離開の症例に対し,早期復帰を可能とする有効な方法である.

 対象と方法:今回われわれは,肘頭骨端離開と診断され,反転骨移植術を行った成長期野球選手8例の手術成績を評価した.反転骨移植は伊藤らの報告に準じて行った.併用した内固定はテンションバンドワイヤリング1例,髄内スクリュー固定3例,皮質間スクリュー固定4例であった.

 結果:全例で骨癒合が認められ,制限なく競技復帰を果たした.テンションバンドワイヤリング固定の1例で術後2年時に,髄内スクリュー固定の1例で術後9カ月時に肘頭疲労骨折を発症した.

 まとめ:2例の疲労骨折発生を踏まえ,現在は離開部の強固な固定と疲労骨折予防のためヘッドレススクリューによる皮質間固定を施行している.

整形外科専門医による単純X線像レビューの有用性の検討

著者: 勝尾信一 ,   水野勝則 ,   砂山千明 ,   尾島朋宏 ,   山門浩太郎 ,   木谷聡 ,   山本崇史 ,   宇賀治修平 ,   林正岳

ページ範囲:P.1009 - P.1012

 背景:単純X線像読影の不備を限りなくゼロに近づけることを目的に,整形外科医による単純X線像のレビューを行った.

 対象と方法:2013(平成25)年4月から3カ月間,外来で撮影した単純X線像を整形外科専門医がレビューし,診察医の異常所見見逃しをチェックした.また,放射線科医読影レポートとその後の経過を確認した.

 結果:3,579件中,レビューで異常所見発見60件(1.68%),放射線科医の読影レポートで異常所見発見31件中レビューで発見されなかったもの11件(0.31%),後日判明9件(0.25%)であった.

 まとめ:レビューによって異常所見の総見逃し80件中60件(75.0%)を発見しており,整形外科専門医によるレビューは有用であった.

骨粗鬆症性脊椎椎体骨折急性期のMRI所見と椎体圧潰進行率,腰痛との関連について—Prospective study

著者: 井上太郎 ,   湯川泰紹 ,   吉原永武 ,   伊藤圭吾 ,   片山良仁 ,   松本智宏 ,   町野正明 ,   富田浩之 ,   大内田隼 ,   富田桂介 ,   加藤文彦

ページ範囲:P.1013 - P.1018

 目的:本研究は骨粗鬆症性脊椎椎体骨折急性期MRI所見と,椎体圧潰進行率,腰痛との関連について前向きに検討することを目的とする.

 対象:急性期にMRIを撮影した脊椎椎体骨折の患者35名を対象とした.T1強調画像を全体型,部分型に分類し,T2強調画像は中村分類で分類した.圧潰進行率はX線像上で計測し,腰痛はVASで評価した.

 結果:T1強調画像において,全体型の症例で圧潰進行が多くみられた.T2強調画像では,Diffuse low typeで圧潰進行が多くみられた.また,急性期のMRI画像所見と腰痛VASとの間に関連を認めなかった.

 結論:T1強調画像で全体型,T2強調画像でDiffuse low typeでは圧潰がより進行することが明らかとなった.

腰椎変性すべり症に対する内視鏡補助下OLIF—導入初期に血管と尿管を損傷しないために

著者: 林隆宏 ,   時岡孝光

ページ範囲:P.1019 - P.1023

 背景:Oblique lateral interbody fusion(OLIF)を導入する際に,尿管,大血管損傷の危険性がある.

 方法と対象:2014年10月から2015年2月までに OLIFを施行した腰椎変性すべり症16例に対して,術中の尿管,大血管評価のため内視鏡を併用した.

 結果:内視鏡を併用することで術者とスタッフ全員が視野を共有でき,尿管,大血管,神経の同定が行いやすくなった.

 まとめ:OLIF術中の内視鏡併用は大血管損傷や尿管損傷など重大な合併症の予防,特に尿管損傷の予防に非常に有用であった.

症例報告

乾癬性関節炎の母指MP関節亜脱臼に対する治療経験

著者: 仲西知憲 ,   財津泰久 ,   小島哲夫 ,   溝口知行 ,   上新淑文 ,   小川光 ,   村田大 ,   弓削英彦 ,   榎原純

ページ範囲:P.1025 - P.1028

 乾癬性関節炎の手指病変に対する手術加療について1例報告する.53歳男性,皮膚所見は沈静化するも,炎症反応陽性および両母指MP関節亜脱臼を呈した症例である.メソトレキサート投与で炎症反応正常化の後,full-thread screwを用いた右母指MP関節固定術を施行した.術後感染なく経過し,ピンチ動作,握力の改善を認め,現職復帰した.本症例では,感染に注意し,罹患関節の強直を修正して,つまみ動作の把持力を上げるための関節固定術を施行し,良好な手指機能が獲得された.

骨端核の圧潰と著明な外側隆起を生じたペルテス病の1例

著者: 西山正紀 ,   山田総平 ,   中野祥子 ,   西村淑子 ,   二井英二

ページ範囲:P.1029 - P.1032

 低年齢発症のペルテス病であっても常に成績良好とは限らず,治療を要する例は存在する.今回われわれは,大腿骨頭骨端核が圧潰して外側に隆起を伴い,著明な外転制限を認めた3歳1カ月のペルテス病女児例を経験した.介達牽引と長内転筋腱切腱術で可動域を改善させて,Batchelor型免荷外転装具によるcontainment療法を施行した.高度な骨頭変形は,確実なcontainment療法により球型に修復した.治療経過を若干の考察を加えて報告する.

内反変形膝に対して行ったdouble level osteotomyの2例

著者: 中山寛 ,   井石智也 ,   神原俊一郎 ,   柏薫里 ,   吉矢晋一

ページ範囲:P.1033 - P.1036

 遠位大腿骨骨切り術と高位脛骨骨切り術を同時に行うdouble level osteotomyの2例を経験した.内反変形の原因である骨性変形が大腿骨,脛骨の両方にある場合,高位脛骨骨切り術だけでは膝関節面傾斜が増大し,非生理的な膝関節となる.この非生理的膝関節面傾斜を予防し,解剖学的な膝関節面角度を獲得できるのがdouble level osteotomyである.

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欧文目次 フリーアクセス

ページ範囲:P.931 - P.931

次号予告 フリーアクセス

ページ範囲:P.1039 - P.1039

あとがき フリーアクセス

著者: 土屋弘行

ページ範囲:P.1042 - P.1042

 皆様いかがお過ごしでしょうか.夏の始まりは暑い日々が続きましたが,8月のお盆を過ぎてきますと,比較的過ごしやすくなってきて秋の気配を感じるようになってきました.しかし,ニュースでは熱中症情報が毎日出され,熱中症で亡くなる方や病院へ運ばれる方が多数いるのを聞いてびっくりします.愚生が若かりし頃,こんなに熱中症が起こっていたのかなあ?と,ふと疑問に感じてしまいます.近年の地球温暖化と関連するのかもしれませんが,高齢化社会へ向かっていることも一因かと思います.

 現在,日本整形外科学会を中心にロコモの啓蒙活動が活発に行われています.ここ金沢でも,ロコモ対策市民公開講座を過日開催いたしました.350名ほどの参加者アンケート結果では,49%の人がロコモをよく知っているあるいは大体知っていると回答し,意味はあまり知らないが言葉は知っている人を含めると79%になりました.もともと病気に関心のある人たちが集まるので,このような高い数値が出てきたのもありますが,北陸地区での認知度は良好です.多くの人は元気になるために来場したとのことですので,今後,日本人の元気を保つために整形外科医の役割は益々重要になってくると思います.

基本情報

臨床整形外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1286

印刷版ISSN 0557-0433

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