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文献概要
特集 世界にインパクトを与えた日本の整形外科
Myelopathy Handと10秒テスト
著者: 小野啓郎1
所属機関: 1大阪大学整形外科学
ページ範囲:P.1156 - P.1158
文献購入ページに移動病気の診断には詳しい問診と,詳細な動作観察とテスト(たとえばLasegueテストなど)が欠かせないという時代は20世紀とともに終わったのだろうか.かっては補助診断資料と目された診断画像情報が,今や,決定的な意味を持ちだした.そうした背景もあって,myelopathy handを探していた当時の私の目標はBabinski反射であった(図1).その証明が「錐体路障害を否定できない証拠」となる——そんな決定的な異常が(頚髄症なら)手・指にもあるに相違ないと,整形外科医の私は,単純に信じていた.
当時,整形外科医の間では橈骨神経麻痺手や,尺骨神経麻痺手がよく知られていたが,錐体路障害の手の変形としては片麻痺の手だけがよく知られていた.「何の特徴もない,厄介な手の変形」という印象だけで,「頚髄症に特徴的な手の変形」といったものに興味を抱く研究者は皆無だったのである.
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