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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科50巻12号

2015年12月発行

文献概要

特集 世界にインパクトを与えた日本の整形外科

Myelopathy Handと10秒テスト

著者: 小野啓郎1

所属機関: 1大阪大学整形外科学

ページ範囲:P.1156 - P.1158

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背景

 病気の診断には詳しい問診と,詳細な動作観察とテスト(たとえばLasegueテストなど)が欠かせないという時代は20世紀とともに終わったのだろうか.かっては補助診断資料と目された診断画像情報が,今や,決定的な意味を持ちだした.そうした背景もあって,myelopathy handを探していた当時の私の目標はBabinski反射であった(図1).その証明が「錐体路障害を否定できない証拠」となる——そんな決定的な異常が(頚髄症なら)手・指にもあるに相違ないと,整形外科医の私は,単純に信じていた.

 当時,整形外科医の間では橈骨神経麻痺手や,尺骨神経麻痺手がよく知られていたが,錐体路障害の手の変形としては片麻痺の手だけがよく知られていた.「何の特徴もない,厄介な手の変形」という印象だけで,「頚髄症に特徴的な手の変形」といったものに興味を抱く研究者は皆無だったのである.

参考文献

1) Alter M:The digiti quinti sign of mild hemiparesis. Neurology (Minneap) 23:503-505, 1973
2) Baily RW:Applied neuroanatomy and neurological diagnosis. In:Baily RW (ed). The Cervical Spine. Lea Febiger, Philadelphia, pp98-110, 1974
3) Lord B, Wilkinson M:Cervical Spondylosis and Other Disorders of the Cervical Spine. Heinemann, London, 124, 1967
4) Ono K, Ota H, Tada K, et al:Cervical myelopathy secondary to multiple spondylotic protrusions:a clinicopathologic study. Spine 2:109-125, 1977
5) Ono K, Okada K, Fuji T, et al:Finger escape sign (FES), an objective sign signifying pyramidal tract involvement of the cervical spinal cord. Orthop Trans 6(2):181, 1982
6) Ono K, Ebara S, Fuji T, et al:Myelopathy hand. J Bone Joint Surg Br 69:215-219, 1987
7) Ono K, Dvorak J, Dunn E:Cervical Spndylosis and Similar Disorders. World Scientific, Singapore, 1998
8) Penfield W, Rasmussen G:The Cerebral Cortex of Man:A Clinical Study of Localization of Function. Macmillan, New York, 1950

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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