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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科50巻12号

2015年12月発行

文献概要

特集 世界にインパクトを与えた日本の整形外科

先天性橈尺骨癒合症授動術(金谷法)の開発

著者: 金谷文則1

所属機関: 1琉球大学大学院医学研究科整形外科

ページ範囲:P.1159 - P.1160

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血管柄付き筋膜脂肪弁移植の開発

 1978年に新潟大学を卒業して,同大学の故田島達也名誉教授に手外科の薫陶を受けた.マイクロサージャリーは吉津孝衛先生をはじめとする新潟大学の諸先輩からご指導を受け,1987年からのLouisville(Kentuckey, USA)留学で経験を積むことができた.1991年,琉球大学に勤務し,血管柄付き遊離皮弁を用いて種々の四肢の再建を行い,さらに難治とされた先天性脛骨偽関節症(Boyd type 2)に血管柄付き腓骨移植術を行い一期的骨癒合が得られた.

 1991年の時点で,既に血管柄付き腓骨移植の報告は国内外に多数みられた.そこで骨癒合して欲しくないのに癒合してしまう状態を治療することができないかと考えたのが,「血管柄付き筋膜脂肪弁移植を用いた橈尺骨癒合症授動術」2)である.犬の椎弓切除後の再癒合を防ぐ効果が,有茎脂肪弁>遊離脂肪>シリコン>Gelformの順との報告2)があり,先天性橈尺骨癒合症の分離部に血管柄付き筋膜脂肪弁を充塡する方法を思いついた.本法はオリジナルの方法であるが,分離術に橈骨骨切り術を加えて橈骨頭を整復するアイディアは田島先生3),分離部に血管付き組織を充塡するアイディアは矢部裕先生の報告4)を参考にしたものである.

参考文献

1) Kanaya F, Ibaraki K:Mobilization of a congenital proximal radioulnar synostosis with use of a free vascularized fascio-fat graft. J Bone Joint Surg Am 80:1186-1192, 1998
2) Gill GG, Sakovich L, Thompson E:Pedicle fat grafts for the prevention of scar formation after laminectomy. An experimental study in dogs. Spine 4:176-186, 1979
3) 荻荘則行,田島達也:先天性近位橈尺骨癒合症に対する授動術の検討.日整会誌65:S554,1991
4) 矢部 裕:先天性近位橈尺骨癒合症に対する新手術法.整形外科22:900-903,1971
5) 金城政樹,普天間朝上,岳原吾一・他:先天性橈尺骨癒合症.整・災外51:191-197,2008
6) 仲宗根素子,仲宗根哲,金城政樹・他:先天性近位橈尺骨癒合症に対する前腕骨の3次元変形解析.整外と災外64:328-331,2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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