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文献概要
特集 世界にインパクトを与えた日本の整形外科
ループスーチャー
著者: 津下健哉12
所属機関: 1広島手外科・微小外科研究所 2広島大学
ページ範囲:P.1176 - P.1178
文献購入ページに移動ループスーチャーには多くの思い出があり秘話もある.私が手の外科を始めた当時の腱縫合法は,Bunnell法,Mason-Allen法,ときにDouble Right Angle法が用いられ,その後HE KleinertによるBunnell変法(1967),Kessler法(1969)などが紹介されたが,私も常々何かよい方法はないかと考えていた.
私は卒後間もなくの頃,動物実験で墨汁を血管内に注入し透明標本を作製,双眼拡大鏡で組織の微小循環を観察することに興味を持っていた.また当時,輸入され始めた骨折に対する髄内固定法の際の仮骨形成と血行造成の関連についても観察していたが,これらより腱縫合についても癒合に大切な血行を温存した縫合法はないかと考えていた.骨の髄内固定法同様,腱も腱内性に縫合できないかと考え,思いついたのがこの方法である.初めは普通糸を往復して使用していたが,後にループ針とした.血行障害の最も少ない縫合をと考えたわけである.
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