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特集 世界にインパクトを与えた日本の整形外科
腫瘍脊椎骨全摘術 Total en bloc Spondylectomy—“TES”の開発を駆り立てたもの,支えてくれたものは何だったのか?
著者: 富田勝郎12
所属機関: 1金沢大学 2金沢先進医学センター
ページ範囲:P.1181 - P.1184
文献購入ページに移動若き整形外科医の頃(1970年代)
整形外科医になりたての頃,「脊椎のがん」にメスを入れるのは「死の門を叩く」としてタブー視されていました.そんな脊椎がんの患者さんが,激痛・麻痺で苦しみながら息絶えていくのをみると無力を感じ,とてもやり切れない気持でした.医学的に手術はとても無理,と何度説明しても,患者さんは,「難しかろうがナンセンスだろうが,がんを取り除いてみてほしい」と叫ぶのです.私も,もし目の前の患者さんが自分の家族だったら,同じことを言うだろう……,もしかして患者さんは,そこに一縷の望みがあり得ると直感しているのかもしれない! むしろわれわれ医者のほうが逃げ腰かも,と自問自答していました.
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