文献詳細
整形外科/知ってるつもり
文献概要
■はじめに
2020年の夏季オリンピック開催地が東京に決定し,将来の代表候補である中学生や高校生アスリートの活躍に注目が集まっている.ジュニア世代のトップに上り詰めた彼らの競技パフォーマンスの源が日々のトレーニングであることは間違いないが,果たしてそれだけであろうか.多くの人は「トップアスリートは『素質』が違う」と考えるかもしれない.この「素質」,つまり遺伝的要素が運動能力を左右する大きな要素であることは,走行能力に基づいて選択交配を繰り返す競走馬の世界で端的に示されている.ヒトの運動能力においても遺伝的要素の関与は十分に考えられており,その生理学的な根拠として最大酸素摂取量,心臓容積,骨格筋の筋線維タイプ組成,筋力や体格などが遺伝的要因の影響を受けていると報告されている2).約30億塩基対からなるヒトのDNAは99.9%が共通の塩基配列を有しているが,残りの0.1%が個々人で異なる.遺伝子上に存在するこのようなわずかな違いが,競技パフォーマンスにおいても多様な表現型の1つとして反映されると考えられている.さらに近年は分子遺伝学的方法の発展により,競技パフォーマンスに影響する原因遺伝子の探索が進められてきた.
2020年の夏季オリンピック開催地が東京に決定し,将来の代表候補である中学生や高校生アスリートの活躍に注目が集まっている.ジュニア世代のトップに上り詰めた彼らの競技パフォーマンスの源が日々のトレーニングであることは間違いないが,果たしてそれだけであろうか.多くの人は「トップアスリートは『素質』が違う」と考えるかもしれない.この「素質」,つまり遺伝的要素が運動能力を左右する大きな要素であることは,走行能力に基づいて選択交配を繰り返す競走馬の世界で端的に示されている.ヒトの運動能力においても遺伝的要素の関与は十分に考えられており,その生理学的な根拠として最大酸素摂取量,心臓容積,骨格筋の筋線維タイプ組成,筋力や体格などが遺伝的要因の影響を受けていると報告されている2).約30億塩基対からなるヒトのDNAは99.9%が共通の塩基配列を有しているが,残りの0.1%が個々人で異なる.遺伝子上に存在するこのようなわずかな違いが,競技パフォーマンスにおいても多様な表現型の1つとして反映されると考えられている.さらに近年は分子遺伝学的方法の発展により,競技パフォーマンスに影響する原因遺伝子の探索が進められてきた.
参考文献
1) Alfred T, Ben-Shlomo Y, Cooper R, et al:ACTN3 Genotype, athletic status, and life course physical capability:meta-analysis of the published literature and findings from nine studies. Hum Mutat 32:1008-1018, 2011
2) Anderson JL, Schjerling P, Saltin B:Muscle, genes and athletic performance. Sci Am 283:48-55, 2000
3) Berman Y, North KN:A gene for speed:the emerging role of α-actinin-3 in muscle metabolism. Physiology 25:250-259, 2010
4) de la Chapelle A, Traskelin AL, Juvonen E:Truncated erythropoietin receptor causes dominantly inherited benign human erythrocytosis. Proc Natl Acad Sci U S A 90:4495-4499, 1993
5) Jones A, Montgomery HE, Woods DR:Human performance:a role for the ACE genotype? Exerc Sport Sci Rev 30:184-190, 2002
6) Ma F, Yang Y, Li X, et al:The association of sport performance with ACE and ACTN3 genetic polymorphisms:a systematic review and meta-analysis. PLoS ONE 8:e54685, 2013
7) North KN, Yang N, Wattanasirichaigoon D, et al:A common nonsense mutation results in alpha-actinin-3 deficiency in the general population. Nat Genet 21:353-354, 1999
8) Puthucheary Z, Skipworth JRA, Rawal J, et al:The ACE gene and human performance:12 years on. Sports Med 41:433-448, 2011
9) Rigat B, Hubert C, Alhenc-Gelas F, et al:An insertion/deletion polymorphism in the angiotensin I-converting enzyme gene accounting for half the variance of serum enzyme levels. J Clin Invest 86:1343-1346, 1990
10) Savulescu J, Foddy B:Comment:genetic test available for sports performance. Br J Sports Med 39:472, 2005
11) Yang N, MacArthur DG, Gulbin JP, et al:ACTN3 genotype is associated with human elite athletic performance. Am J Hum Genet 73:627-631, 2003
掲載誌情報