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視座
股関節機能における寛骨臼関節唇の役割は?
著者: 東博彦1
所属機関: 1埼玉医科大学
ページ範囲:P.301 - P.301
文献購入ページに移動1990年代に入るとfemoroacetabular impingement(FAI)が脚光を浴び,関節唇の種々の病態が明らかにされ,その生理学的機能についてもいろいろと研究されてきている.一般的には,関節唇は一種の弁装置として働き,関節腔を密閉し滑液を保つのに役立つとの説が有力である.この密封作用の効果として,関節が牽引された時には陰圧を保って関節の安定性を増し,関節液が軟骨面に塗布されて潤滑機能を保つとともに軟骨の栄養に寄与する.さらにわれわれの研究で,関節唇には自由神経終末や各種の終末器官が存在することを確認したが,疼痛をはじめ圧や深部知覚に関与するsensible shock absorber(Norman Espinosa, J Bone Joint Surg, 2006)として関節唇が働くのではないか,という意見にわれわれも賛成である.
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