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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科50巻4号

2015年04月発行

文献概要

連載 整形外科の歴史・4

足の外科の歴史

著者: 高倉義典12

所属機関: 1奈良県立医科大学 2西奈良中央病院

ページ範囲:P.358 - P.363

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 足の外科の歴史は古今東西,変形の矯正で始まったと言っても過言ではない.海外の古い記述を紐解くと,ヒポクラテス時代(BC4世紀)に遡り,足部・足関節では内反足の整復法が記述されているのが,最初と言われている.一方,ポリオの下肢や足の変形と思われる症状も紀元前からエジプト,ギリシャ,中国などで見受けられる.その後の足の外科関連の治療としては,近世のDelpech(1816)やStromeyer(1853)の内反足や麻痺足に対するアキレス腱の切腱術に至る.

 わが国でも,足部の変形に対しては,奈良時代の養老令・令義解の障害者の等級表の中に足趾や足の変形が掲載されている.また,日本最古の医学書と言われる丹波康頼が編集した「医心方」(984)には,蹇(あしなえ)という足部の障害の記載が少しはあるが,多くの医学に関する書籍に足部に関する報告はない.

参考文献

1) 二宮彦可:正骨範.1808(武田)
2) 各務文献:整骨新書.1810(武田,京大)
3) 鎌田桂洲:外科起廃.1851(武田)
4) 奥田万里:釣玄四科全書整骨書.1858(武田)
5) 本間棗軒:續瘍科秘録.1859(京大)
6) 松岡道治:人体畸形矯正学.丸善,東京,1910
7) 広本文吉,田代義徳:哺乳児の先天性内反馬足の療法.日外会誌12:155,1911
8) 横倉誠次郎:本邦成人内外両長軸穹窿ノ基準ヲ定メ扁平足ノ分類ニ及ブ.日整会誌3:331-360,1928
9) 水野祥太郎:荷重ト足骨格構造,扁平足判定法ノ一批判.日整会誌15:715-730,1940
10) 横倉誠次郎:水野氏の扁平足判定法の一批判.日整会誌16:121-125,1941
11) 水野祥太郎:所謂正規足ニ就テ,横倉博士ヘノオ答エ.日整会誌17:964-970,1942
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13) 島津 晃:わが国における先天性内反足の歴史.整形外科MOOK17,先天性内反足,1-10,1981
14) 水野祥太郎:ヒトの足.この謎にみちたもの.創元社,大阪,1984
15) 日本整形外科学会80年史.社団法人日本整形外科学会,2006
16) Helal B, Wilson D:The Foot. Churchill Livingstone, London, 1988

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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