臨床整形外科50巻6号

2015年06月発行

症例報告

トシリズマブ使用中に血小板減少を合併した高齢者関節リウマチの2例

著者： 小林裕樹¹ 岡邨興一¹ 米本由木夫¹ 金子哲也¹ 小林勉¹ 櫻井武男² 井上博² 高岸憲二¹

所属機関： ¹群馬大学大学院医学系研究科整形外科学 ²井上病院リウマチセンター・整形外科

ページ範囲：P.591 - P.595

　関節リウマチ(RA)治療における生物学的製剤の実用化に伴い，生物学的製剤による治療効果および副作用の報告が散見される．今回われわれは，トシリズマブ(tocilizumab；TCZ)によりRA治療を開始した2症例において，血小板(Plt)の著明な減少を経験したので報告する．症例1はTCZの休薬と薬剤変更によりPltが再上昇した．症例2はTCZによる治療を継続しPltを経過観察中である．TCZ投与例におけるPlt減少の原因はTCZのIL-6阻害作用にあると考えられ，TCZの注意すべき副作用と考えられる．

参考文献

点滴静注用80mg，200mg，400mg安全情報．全例調査中間報告「関節リウマチ」Vol.3．重篤度別副作用発現状況

2) Asano S, Okano A, Ozawa K, et al:In vivo effects of recombinant human interleukin-6 in primates:Stimulated production of platelets. Blood 75:1602-1605, 1990

適正使用情報vol.1，p8

皮下注40mg，シリンジ0.8mL適正使用情報Vol.5，p13，2011

5) 長嶺隆二，陳　維嘉，近藤桂史・他：Tocilizumab投与直前後での白血球数の変化：九州リウマチ31：31-34，2011

点滴静注用100　関節リウマチ・適正使用情報．使用成績調査(全例調査)における5000例の安全プロファイル．p4，2007