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雑誌目次

雑誌文献

臨床整形外科50巻7号

2015年07月発行

雑誌目次

視座

ミャンマーの病院での珍風景

著者: 笠井裕一

ページ範囲:P.619 - P.619

 ミャンマーへの医療支援を始めてから5年になります.その間に,この麗しき微笑の国では,ボロボロの砂利道がアッという間に舗装され,あちこちで新しい工場やホテルが建ち,急速に近代化の大波が押し寄せています.しかし一方,医療の近代化はほとんど進んでおらず,ミャンマーの病院には日本では絶対にみることができない珍風景があります.今回,私の珍風景5選を紹介します.

論述

頚椎椎弓形成術後の後弯化と椎弓再閉鎖の危険因子—頚椎矢状面バランスに着目して

著者: 坂井顕一郎 ,   前原秀二 ,   新井嘉容 ,   相馬真 ,   鳥越一郎 ,   友利正樹 ,   平井高志 ,   佐藤浩一 ,   大川淳

ページ範囲:P.621 - P.628

 背景:頚椎矢状面バランスに注目し,椎弓形成術後の後弯化・椎弓再閉鎖との関連を検討した.

 対象と方法:術前後弯を伴わない頚椎症性脊髄症に対し椎弓形成術を行った157例の術前・術後1年時単純X線像でcervical sagittal vertical axis(SVA),C2-7前弯角,C7椎体傾斜角,C2-7可動域を計測し,術後後弯化の危険因子を調べた.また,このうち術直後・1年時にMRI撮影が行われていた92例の椎弓開大角を計測し,椎弓再閉鎖との関連も併せて調査した.

 結果:後弯化は157例中8例(5.1%)に認め,年齢とcervical SVAが術前危険因子であった.椎弓再閉鎖は92例中4例(4.3%)に認め,全例が後弯化例であった.

 まとめ:矢状面バランス不全は年齢とともに術後後弯化の術前危険因子であり,後弯化と椎弓再閉鎖に関連を認めた.

氷冷灌流水の使用は椎弓形成術時の術後C5麻痺を有意に減少させる

著者: 武中章太 ,   細野昇 ,   向井克容 ,   立石耕介 ,   冨士武史

ページ範囲:P.629 - P.636

 目的:圧迫性頚髄症の除圧術後の上肢麻痺の原因として,エアードリルの摩擦熱による神経根熱傷害の可能性を考え,氷冷灌流水導入による上肢麻痺の頻度の減少効果を調査した.

 対象と方法:片開き式椎弓形成術に氷冷灌流水(平均12.1℃)を導入した前後で800例(室温群400例,氷冷群400例)を対象とし,術後上肢麻痺(三角筋,上腕二頭筋または上腕三頭筋がMMTで1以上低下)を比較検討した.

 結果:術後上肢麻痺は室温群38例(9.5%)に比し氷冷群16例(4.0%)で有意に減少した(p=0.003).腕ごとの多変量解析(1,600肢)では室温灌流水使用(p=0.007),椎間孔拡大術併用(p=0.010),open側(p=0.017)が危険因子であった.術後2日以内に有意な減少を認め(p<0.001,82%減),術後3日以降では有意差はなかった(p=0.565).

 まとめ:エアードリル掘削時の灌流水を保冷剤で冷却することにより,椎弓形成術における術後上肢麻痺を有意に減らせることがわかった.

検査法

片側の椎間板高減少(wedging)の進行による椎間孔狭窄—単純X線正面像でのスクリーニング

著者: 村田泰章 ,   金谷幸一 ,   和田啓義 ,   和田圭司 ,   石井千春 ,   柴正弘 ,   八田哲 ,   加藤義治

ページ範囲:P.637 - P.642

 目的:単純X線正面像で片側の椎間板高が減少(wedging)している例では,椎間孔は狭くなる.椎間板のwedging進行度が椎間孔狭窄のスクリーニングに有用かを検討した.

 対象と方法:腰椎手術を行った205例を対象とした.単純X線正面像で各椎間板のwedgingを計測し,椎間孔狭窄の有無を調べた.

 結果:椎間孔狭窄は,L5/Sで15例,L4/5で8例,L3/4より上位で0例に認められた.L5/Sに4°以上のwedgingがある25例では5例に椎間孔狭窄を認め,4°未満の例に比べ高率に椎間孔狭窄症状がみられた(p<0.01).

 まとめ:L5/Sに軽度のwedgingがあれば,椎間孔狭窄を念頭に置いて診断すべきであると考えられた.

最新基礎科学/知っておきたい

整形外科とプロテオミクス

著者: 窪田大介

ページ範囲:P.644 - P.648

■はじめに

 近年,ポストゲノムシークエンス時代の研究手法の1つとして,タンパク質レベルでの網羅的解析であるプロテオミクスが盛んである.このプロテオミクスの技術が疾患の早期診断や病因の解明,バイオマーカー開発,さらに創薬研究への適応など,医療技術に応用されている.

 プロテオミクスは,遺伝子を網羅的に解析する“ゲノミクス”と,タンパク質を意味する“プロテイン”を合わせた造語であり,1995年にWilkinsらにより提唱された15).プロテオーム解析とも呼ばれ,生物の細胞・組織レベルにおいて,ある静的状態におけるタンパク質発現全体を解析する研究手法である.2001年にヒトゲノムの全塩基配列が発表され,その全貌が明らかとなったが,タンパク質発現とゲノムの発現レベルは必ずしも一致しない.それは生体内のタンパク質が遺伝情報に基づいて転写・翻訳され,さらにリン酸化や糖鎖修飾などの翻訳後修飾,分解の影響を受け,最終発現型として機能するからである.したがって,プロテオミクスでは,ゲノム解析では把握しきれない情報を解析することが可能である.

境界領域/知っておきたい

指間形成術後の瘢痕拘縮—構造解析から考える対策

著者: 宮本純平

ページ範囲:P.650 - P.653

指間形成術の歴史

 合指症分離手術時などに行う指間形成術では,機能的改善と形態的改善が求められる15).皮弁の挿入位置や大きさが不適切であったり,移植皮膚の生着が不良であったり,不適切な術後ドレッシングなどは,容易に瘢痕拘縮につながる.同部の瘢痕拘縮で最も問題になるのは,術後に指間底部の水かき(web)部分が浅くなることで,web creepと呼ばれる.術後早期に問題がなくても,成長とともに明らかになる場合もある.現在,合指症では,骨の変形予防や指機能の早期獲得のため,1歳前後で分離手術を行うことが多いが,いまだ再手術が必要になる症例もあり,成長を考慮した長期的な拘縮予防が重要になる.

 正常な指間は,上方からみるとU字型のwebを形成しており,開大時にわずかに浮き上がる.側方からみると,掌側底部に向かって40〜45°のスロープ状になっており,正面からみると砂時計型になっている.これらの形態を考慮しながら,①指を抵抗なく開くことができる,②開いた時に過度にwebが浮いてこない,③目立たないところに瘢痕ができるようにする,のが理想と考えられる.

連載 整形外科の歴史・7

手外科の歴史

著者: 生田義和

ページ範囲:P.654 - P.661

はじめに

 昭和39年(1964年)発行の改訂版「神中整形外科学」には,すでに手の外科に関しては河野左宙先生が担当されて79頁が割かれていることからも理解できるように,整形外科や外科の分野で手外科治療は当然行われていたのであるが,組織的な分野としての手外科学は「日本手の外科学会」の誕生を待たねばならなかった.

 さて,この日本における「手の外科学会」の発足は,奇しくも中国の国政と関連している.すなわち,1949年に中国共産党が政権を握った結果,すでに予算が組まれていたアメリカの中国医療基金(China Medical Board:CMB)が日本に回されることとなった.その結果,当時このCMBの理事であった外科医Dr. Johnstonが1955年に日本を訪問し,翌1956年,彼の弟子である手外科医Dr. Harry Millerが日本に派遣された.彼は同じく手外科医であるDr. Michael Masonの「腱の手術」の映画を持参し,日本各地で講演すると同時にこの映画を供覧したことが契機となり,翌1957年,九州大学の天児民和教授が「日本手の外科学会」(以下,「日手会」と略す)を創立された.

 Dr. Johnstonが九州大学整形外科を訪問した理由は,同じ分野の研究者であった第1外科の三宅博教授がおられたからとのことであり,この時,九州大学整形外科の病棟をDr. Johnstonが回診された,と天児民和先生が後に書かれている.

 Dr. Jonhnstonの訪日から4年後に,九州大学の高岸直人先生(図1)が,ついで岡山大学の津下健哉先生(図2)がDr. Johnstonの弟子であるデトロイトのDr. Joseph Poschの元に留学された.

 また,この系列とは全く別に,新潟大学の田島達也先生(図3)は1952年から2年間,米国Albany医科大学に留学され,Dr. William LittlerやDr. Sterling Bunnellから手の外科を学ばれて帰国され,わが国のこの分野のパイオニアの1人として手の外科の概念や手技についての普及に貢献された.

整形外科の歴史

関節形成術を中心とした股関節手術の歴史⑦

著者: 小野啓郎

ページ範囲:P.663 - P.667

Metal-on-metal (MOM) surface replacement arthroplasty

 MOM(金属対金属)人工関節の優れた点が評価される時代がやってきた.しかし,これが,また新たな問題を惹き起こしている.MOM人工関節における摩耗粉と,これに由来する生体内金属イオンへの懸念である.人工関節の登録制度のある国—英語圏でMOM人工関節のリコール問題が起きた.2009年末にThe Australian Orthopaedic Association National Joint Replacement Registry(AOANJRR)が早期再手術例の頻度が高いことで警告を発し,DePuy ASRなどにMOM implants使用停止を勧告した.米国や英国がこれに続いた.

 元来,ポリエチレンの摩耗粉による人工関節周囲の異物反応と骨吸収,その結果としてのimplantの緩みを回避すべくMOM人工関節に切り替えたのであるが,金属粉にも炎症と痛みを伴う例が少なくないことがわかった.

運動器のサイエンス・16

慢性疼痛増加の機序を探る

著者: 半場道子

ページ範囲:P.668 - P.670

Mesolimbic dopamine systemが破綻すると痛みが拡がる

 第15回では,快の情動系と呼ばれるmesolimbic dopamine systemと,下行性疼痛抑制系10)による中枢性疼痛抑制機構について述べた.生体が痛みという急性ストレスに襲われた時,dopamine & opioid systemが瞬時にこれに応答し,さまざまな神経系にpositive actionを起こしてストレスを乗り越えている.古い脳器官は,免疫系や自律神経系とも直結して,生存に適した根源的な活動を無意識下で展開している.

 Mesolimbic dopamine systemは,社会性の発達したヒトでは,認知・思考機能に結びついて,「優越性の錯覚」の基盤も形成している6).自分の知能,技術や性格は,社会の中で一般より優れているか,自己評価と脳内dopamineの関係を調べた報告がある.謙虚を美徳とする日本でも,多くの人が「平均より上」にランク付けする12)が,優越の意識を持つとdopamine systemは活性化する.優越性の錯覚は精神の健康を保つうえで重要で,これによって人は己の可能性を信じ,希望や目標を持って未来を向くことができる.病者や慢性疼痛の患者からしばしば洩れる言葉,「自分は無力で無能で何もできない」,「みじめな自分」と対比して考えた時,dopamine systemが生きる意欲と喜び,快情動の形成に,いかに重要であるかあらためて実感される.

臨床経験

ストーブパイプ髄腔に対するテーパーウェッジ型ステムを用いた人工骨頭置換術の限界

著者: 塚田幸行 ,   岩田勇児 ,   佐藤雄 ,   天羽健太郎 ,   田崎篤 ,   伊藤幹人 ,   辻荘市 ,   黒田栄史 ,   井上肇

ページ範囲:P.671 - P.674

 目的:大腿骨近位部の髄腔形状がストーブパイプ型である患者に対する,テーパーウェッジ型ステムを用いた人工骨頭置換術の有用性と限界を検討することを目的とした.

 対象と方法:大腿骨頚部骨折に対してテーパーウェッジ型ステムを使用して行った人工骨頭置換術46関節を,髄腔形状により分け検討した.

 結果:髄腔形状が正常な例と比較し,ストーブパイプ例では,固定性を得るのに必要なステムサイズが大きく(P=0.0072),オフセットが延長しており(p=0.0003),術後の大転子骨折の合併が高率だった(P=0.029).

 まとめ:テーパーウェッジ型ステムをストーブパイプ髄腔に挿入する場合,股関節の解剖学的再建の困難な症例があり,症例に応じたインプラント選択が必要である.

後方経路腰椎椎体間固定術後の椎体間感染の早期診断におけるMRIの有用性について

著者: 吉田裕俊 ,   井上三四郎 ,   富永冬樹 ,   中西芳応 ,   福元真一 ,   中家一寿

ページ範囲:P.675 - P.680

 背景:腰椎椎体間固定術後の椎体間感染の早期診断におけるMRIの有用性について検討した.

 対象と方法:当院で施行された後方経路腰椎椎体間固定術1,180例のうち,椎体間感染17例,非感染35例のMRI所見を比較した.

 結果:術後7日目のMRI T1強調矢状断像で,椎体間感染例では1例を除く全例,非感染例では20%に軽度の低信号域が出現した.その後のMRIで感染例のみ全例に低信号域の拡大がみられた.

 まとめ:椎体間感染の診断には,術前と術後7日目,その後に追加のMRI所見を比較することが重要で,MRI T1強調矢状断像の低信号域の経時的拡大が早期診断に有用である.

スポーツ選手の第5中足骨疲労骨折(Jones骨折)に対する髄内スクリュー固定術の工夫と治療成績

著者: 市野義信 ,   原邦夫 ,   藤原浩芳 ,   新井祐志 ,   南銀次郎 ,   河野茂 ,   久保俊一

ページ範囲:P.681 - P.686

 背景:Jones骨折に対する髄内スクリュー固定術で,ガイドピン刺入前に肥厚した骨皮質をK-wireでリーミングすることで,十分な長さと径のスクリューを挿入できるよう工夫し,臨床成績を検討した.

 対象と方法:11例11足を対象とした.スクリューの径,長さ,中足骨長に対するスクリュー長の割合,骨癒合までの期間を検討した.

 結果:平均値はそれぞれ径4.5mm,長さ53mm,スクリュー長の割合74%,骨癒合までの期間9週であった.

 まとめ:本術式はスクリューの適切な挿入とJones骨折の治療に有効である.

症例報告

感染性脊椎炎に対する経皮的内視鏡下掻爬洗浄術の治療成績

著者: 俣木健太朗 ,   安部哲哉 ,   船山徹 ,   中山敬太 ,   藤井賢吾 ,   坂根正孝 ,   山崎正志

ページ範囲:P.687 - P.691

 感染性脊椎炎の治療は抗菌薬投与,安静による保存治療が第一選択である.しかし,保存治療で感染の鎮静化が得られず,治療に難渋することがある.今回われわれは保存治療抵抗性の感染性脊椎炎に対して経皮的内視鏡下掻爬洗浄術(以下,PEDD)を施行した12例の治療成績を検討した.

 12例中9例で術後感染鎮静化が得られた(Griffith分類で初期5例全例,進行期4例).3例で感染鎮静化が得られず,追加治療を要した.保存治療抵抗性の感染性脊椎炎に対するPEDDは低侵襲であり,侵襲の大きな病巣掻爬術と脊椎固定を回避し得る可能性があり,感染性脊椎炎の手術戦略の1つとして有用であると考える.

悪性転化を来した線維性骨異形成の1例

著者: 竹内政道 ,   藤田有紀 ,   柳澤道朗 ,   藤哲

ページ範囲:P.693 - P.697

 53歳の女性が右下腿近位内側の腫脹を主訴に来院し,画像検査により,多骨性の線維性骨異型成(FD)を背景に右脛骨近位部が悪性化したものと考えられ,生検病理像で骨肉腫と診断した.術前化学療法を施行したが効果は得られず,大腿切断術を施行した.術後3年で局所再発,遠隔転位は認められていない.FDは稀に悪性転化することがあり,多骨性FDにそのリスクが高く,化学療法は効果が低いと報告されている.早期発見と治療のため,特に多骨性FDと診断された患者には,可能な限りフォローアップを継続する必要がある.

膝蓋骨骨折に対して施行した周囲鋼線締結法後に折損が生じ膝関節内に迷入した1例

著者: 珍部正嗣 ,   石田博英

ページ範囲:P.699 - P.703

 膝蓋骨骨折に対して施行した周囲鋼線締結法後にワイヤーの折損を生じ,これが膝関節内に迷入した1例を経験した.症例は82歳の男性で,外出先で転倒受傷し当科に入院した.骨折に対して周囲鋼線締結法による骨接合を施行した.術後6カ月時に膝関節痛,腫脹を生じて来院した.X線で折損したワイヤーの迷入を認めたため,鏡視下にこれを摘出した.同法によるワイヤーの折損はめずらしいことではなく,関節内に迷入することも否定できず,折損が認められた場合には早期に抜去の必要があると考えられた.

小児内閉鎖筋膿瘍の1例

著者: 岩永康秀 ,   山本愛一郎

ページ範囲:P.705 - P.707

 症例は11歳男児であった.2日前から出現した発熱と右股関節痛を主訴に当院を受診した.単純性股関節炎,化膿性股関節炎を鑑別診断として精査を行ったところ右内閉鎖筋膿瘍と診断された.内閉鎖筋膿瘍は稀な疾患である.診断にはCT,MRIなどの画像診断が有用であるが,特徴的な身体所見として直腸壁の圧痛がみられることがある.本例でも,直腸診の所見が診断に有用であった.

硬膜内に脱出した腰椎椎間板ガスヘルニアの1例

著者: 川邊保隆 ,   梅香路英正 ,   飯田惣授 ,   織田弘美

ページ範囲:P.709 - P.713

 硬膜内に脱出した腰椎椎間板ガスヘルニアの1例を報告する.症例は74歳の女性で,主訴は右下肢痛であった.単純X線像でL4/5にvacuum phenomenonを認めた.MRIと脊髄造影はL4/5に楕円形の陰影像を認め,硬膜を圧迫していた.CTミエログラフィーは硬膜内に椎間板内と同じ低吸収値領域の陰影像を認めた.手術はL4/5レベルを開窓し硬膜を切開すると球形の腫瘤を認め,腫瘤により右L5神経根が絞扼されていた.腫瘤は腹側で椎間板内と交通しており切除した.内容物はガスであった.術後,右下肢痛は完全に消失した.本症例は腫瘤切除を施行したのみで,椎間板への処置あるいは固定術を行わなかったが良好な結果が得られた.

分岐した足背静脈を用いて血流再建を行った両側中手部切断の1例

著者: 柘植信二郎 ,   坂井邦臣 ,   田中こなぎ ,   石山典幸 ,   亀倉暁 ,   大江隆史

ページ範囲:P.715 - P.719

 36歳の男性が木材の裁断機により,中手部で両手を切断された.手掌部での切断により動脈弓は断裂し,血行再建が必要な状態であった.それに対して両足背の分岐した静脈を採取し,両側とも静脈移植により血行再建を行った.血流再建後は経過良好で両側ともに生着した.

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欧文目次 フリーアクセス

ページ範囲:P.617 - P.617

次号予告 フリーアクセス

ページ範囲:P.721 - P.721

あとがき フリーアクセス

著者: 吉川秀樹

ページ範囲:P.724 - P.724

 平成27年5月21日(木)から24日(日)まで,第88回日本整形外科学会学術総会を神戸市で開催いたしました.学会のメインテーマを,「世界へ 未来へ Be Innovative!!」としました.大阪大学医学部は江戸時代,緒方洪庵によって大阪北浜に開かれた適塾を源流としますが,「扶氏医戒之略」に表される高潔で利他的な精神とともに世界へ,そして未来へと目を向けた教育が開学以来行われてきました.現在,われわれ整形外科分野においてもまさに世界的,未来的な視点からの新たな発見や発明,医療貢献が強く求められています.本学会では,先進的,国際的な視点からのセッション,「グローバルヘルス:日本に課せられた課題と果たす役割」や「2020東京オリンピック・パラリンピックにおける医科学学術サポート」をはじめとして,新たな企画を盛り込みました.初めての試みとして,スマホ参加型セッションを企画しました.出席者1人ひとりが各自のスマホを使用して討論に参加することにより,会場全体で熱い議論を交わしていただきました.コンピュータ,インターネット,カメラ,電話,時計,GPSなどの技術を融合したスマホが世界を変えたように,整形外科でも,異分野の知識・技術を融合して,革新的な治療法の開発を目指すべきであることを強調しました.また,海外招待講演を充実させ,世界各国から各分野における第一人者を招いて最新のトピックや,その国ならではの医療事情など多岐にわたって講演いただきました.また,昨年に引き続いて企画したJOA/AAOS Combined Programでは,股関節をテーマに世界レベルの質の高い議論がなされました.日本整形外科学会の国際性がさらに高められたと思います.

基本情報

臨床整形外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1286

印刷版ISSN 0557-0433

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