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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科50巻9号

2015年09月発行

文献概要

誌上シンポジウム Life is Motion—整形外科医が知りたい筋肉の科学

高齢社会におけるサルコペニア肥満の実態と対策

著者: 久野譜也1 方恩知1 金正訓2

所属機関: 1筑波大学大学院人間総合科学研究科スポーツ医学 2

ページ範囲:P.845 - P.848

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 サルコペニア肥満とは,筋肉の減少(サルコペニア)と肥満を併せ持つ状態を意味する.サルコペニア肥満は加齢とともに,身体活動の不足や過食など不健康なライフスタイルが主な原因であり,サルコペニアや肥満の単独の状態と比べて生活習慣病や運動器疾患のリスクを高めることが明らかとなっている.したがって,エビデンスに基づくサルコペニア肥満への対策は,要介護の予防や健康寿命の延長に重要な課題であると考えられる.われわれの研究により,サルコペニア肥満の予防・改善のためには,筋力トレーニングと有酸素性運動を組み合わせたプログラムの実施および適切なタンパク質の摂取が有効であることが明らかとなっている.

参考文献

1) Baungartner RN, Wayne SJ, Waters DI, et al:Sarcopenic obesity predicts instrumental activities of daily living disability in the elderly. Obes Res 12:1995-2004, 2004
2) Fiatarone MA, O'Neill EF, Ryan ND, et al:Exercise training and nutritional supplementation for physical frailty in very elderly people. N Engl J Med 330:1769-1775, 1994
3) Kim J, Tanabe K, Yokoyama N, et al:Sarcopenic-obesity is associated with physical fitness independently physical activity. Med Sci Sports Exerc 44:920-920, 2012
4) 金 正訓,久野譜也:加齢に伴う身体機能の低下と運動の効果.都薬雑誌35:4-7,2012
5) 久野譜也:生活機能を維持・増進するための筋機能向上プログラムの開発:高齢者の生活機能の維持・増進と社会参加を促進する地域システムに関する研究.平成16年度科学技術振興調整費 生活・社会基盤研究のうちの生活者ニーズ対応研究 研究成果報告書pp1-27,2005
6) Rosenberg IH:Sarcopenia:origins and clinical relevance. J Nutr 127:990S-991S, 1997
7) Stenholm S, Alley D, Bandinelli S, et al:The effect of obesity combined with low muscle strength on decline in mobility in older persons:results from the InCHIANTI study. Int J Obes (Lond) 33:635-644, 2009
8) 総務省統計局:高齢者の人口 http://www.stat.go.jp/data/topics/topi721.htm
9) 田辺 解,金 正訓,菅 洋子・他:サルコペニア肥満が歩行能力に及ぼす影響—Smart Wellness City プロジェクト(9).体力科学 61:702,2012
10) Waters DL, Hale L, Grant AM, et al:Osteoporosis and gait and balance disturbances in older sarcopenic obese New Zealanders. Osteoporos Int 21:351-357, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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