臨床整形外科51巻1号

2016年01月発行

症例報告

関節リウマチ肘に合併した尺骨神経皮下断裂の1例

著者： 藤原達司¹ 藤原弘士² 島津宏樹³ 伏見博彰³ 藤原桂樹¹

所属機関： ¹大阪府立急性期総合医療センター整形外科 ²大阪府立急性期総合医療センター免疫リウマチ科 ³大阪府立急性期総合医療センター病理科

ページ範囲：P.93 - P.96

　関節リウマチ肘に尺骨神経皮下断裂を合併した1例を報告する．症例は77歳女性で，30年以上前に関節リウマチを発症し，5年前から左肘関節の運動時痛が発現し，2カ月前から左手尺側のしびれを自覚するようになった．関節リウマチ肘に合併した肘部管症候群と診断されたが，初診時から2年での手術となった．術中に尺骨神経皮下断裂を認めたため，人工肘関節置換術後，神経縫合を行った．著明な骨破壊や関節動揺，長期間経過した肘部管症候群，これらを併せ持つリウマチ肘では，尺骨神経断裂が危惧されるため，早期の手術治療を検討すべきである．

参考文献

1　）Kalaci A, Aslan B, Yanat AN:Spontaneous rupture of ulnar nerve due to neglected cubital tunnel syndrome associated with rheumatoid arthritis. J Clin Reumatol 13:217-218, 2007

2　）加藤義洋，高原政利，荻野利彦・他：肘部管症候群の病因調査．日手会雑誌26：625-627，2010

3　）Moore JR, Weiland AJ:Bilateral attritional rupture of the ulnar nerve at the elbow. J Hand Surg Am 5:358-360, 1980

4　）Ochi K, Ikari K, Momohara S:Attrition rupture of ulnar nerve in an elbow of a patient with rheumatoid arthritis. J Reumatol 41:2085, 2014