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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科51巻12号

2016年12月発行

文献概要

論述

VAS値連続測定法により分析した運動器慢性痛に対するトラマドール塩酸塩/アセトアミノフェン配合錠の疼痛強度緩和効果

著者: 髙橋弦1

所属機関: 1山王整形クリニック

ページ範囲:P.1109 - P.1118

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背景:運動器慢性痛に対するオピオイドの治療的意義については明らかになっていない.

研究デザイン:症例集積研究(case-series study)

対象と方法:トラマドール塩酸塩/アセトアミノフェン配合錠(T/A)を処方した運動器慢性痛38例において,T/Aの服用前と服用中のVAS値の平均値の差を調べた.

結果:T/A服用中のVAS平均値は,有意に低下9例,不変27例,有意に上昇2例であった.全体の63%がVAS値は不変だが服用を継続していた.

まとめ:オピオイドは運動器慢性痛において情動への作用など,疼痛強度の低下以外の作用をもつ可能性が示唆された.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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