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連載 東アフリカ見聞録・12【最終回】
小雨降る径(Il Pleut Sur La Route)
著者: 馬場久敏12
所属機関: 1福井大学医学部器官制御医学講座整形外科学領域 2
ページ範囲:P.1144 - P.1146
文献購入ページに移動日本の四季の移ろい,山,川,森,雪,雨など,水をめぐる環境生態の多様性は人びとの認識や意識,ひいては宇宙観に大きな影響を及ぼす.“雨の国,水の国,日本”.日本の文化の根源,吉野・熊野のそれは紀伊山系の杜(もり)の豊かな雨水に根源があり,日本人の感性,美意識や自然観は雨・水そのものに源流がある.健やかな生態にとって雨水は甘露の雨,甘雨(かんう)なのだ.梅雨時や晩秋,初冬の雨の日など,書斎に籠り,雨に打たれる庭の木々や花々をぼんやり眺めながら,濃い目に熱く入れた紅茶をその時の気分に合わせて選んだウェッジウッドで愉しむひとときはとてもいいものだ.雨はいろいろな事柄やいかようにもならない事項などを流して消してくれる気がして,心が落ち着くのである.
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