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雑誌目次

雑誌文献

臨床整形外科51巻6号

2016年06月発行

雑誌目次

手術手技

フリーハンド胸椎椎弓根スクリュー挿入時の新たな指標の検討—頭尾側の刺入方向に関して

著者: 森本安彦 ,   重松英樹 ,   岩田栄一朗 ,   奥田哲教 ,   増田佳亮 ,   田中康仁

ページ範囲:P.499 - P.502

背景:胸椎椎弓根スクリューの刺入点に関してさまざまな報告があるが,頭尾側の刺入方向の指標を検討した報告はほとんどない.本研究の目的は頭尾側の刺入方向の新たな指標を明らかにすることである.

対象と方法:胸椎CTを用い,T1からT12までの椎間関節の頂部2点と椎体上縁のなす角を測定した.

結果:平均値は全椎体87.6°,上位87.0°,中位87.0°,下位88.6°であった.

まとめ:いずれの椎体も計測角約90°を示した.この頭尾側方向の刺入方向は,椎弓上に筋鉤を設置することにより再現可能であり,術中の新たな指標となりうる.

Lecture

変形性膝関節症に対する高位脛骨骨切り術の進歩—Open Wedge HTOからDouble Level Osteotomyまで

著者: 竹内良平 ,   石川博之 ,   山口祐一郎 ,   大澤克成

ページ範囲:P.503 - P.511

はじめに

 1961年にJacksonら1)が,その後1965年にCoventry2)は変形性膝関節症(膝OA)患者に対して,脛骨近位において外側に底辺を持つ楔状骨片を切り取り,内反変形膝を外反に矯正することが疼痛を軽減させる有効な方法であると報告した(図1).脛骨近位で矯正骨切りを行うこれら2つの術式は,一見類似した方法のようにみえるが,実は大きな違いがある.前者は膝蓋腱の脛骨粗面付着部より遠位で骨切りを行うが,後者は付着部より近位で骨切りを行う方法である.膝蓋腱付着部より近位で骨切りを行うと,大腿四頭筋の収縮力が膝蓋腱を介して骨切り部に直接作用し,骨接合面には圧迫力が生じて骨癒合を促進する効果がある.このCoventryの方法が現在の高位脛骨骨切り術(high tibial osteotomy:HTO)である.一方,Jacksonらの方法は,脛骨粗面下骨切り術であり,HTOとは区別すべきである.

 Coventryの方法は,脛骨近位で外側から楔状の骨片を切除して外側を縮めるclosed wedge HTO(CWHTO)である.人工膝関節置換術(TKA)はまだその成績が安定していなかった時代でもあり,HTOは膝OA患者の疼痛を軽減する手術として広まった.本邦では1970年から1990年代にかけて諸先輩方3-6)の仕事によりHTOの手術件数は多少なりとも増えた時代があった.しかしCWHTOでは,腓骨の骨切りまたは骨切除を施行しなければならず,時として腓骨神経麻痺や腓骨周囲の静脈叢からの出血などによるコンパートメント症候群などが発生することがある.また強度に優れた内固定材料がなく,骨癒合まで全荷重歩行は許可されなかったため,長期間の入院治療が必要であった(2〜3カ月間).さらに手術手技が比較的難しかったこと,術後の骨癒合までの期間中,アライメントの保持が容易ではないことなどの理由により,広くは普及しなかった.一方,TKAは海外の大きな資本をもとにインプラントの大幅な改良がなされ,治療成績も向上し,近年ではその数は激増した.

 1972年にフランスのDebeyreら7)は脛骨近位部で内側から外側に向けて骨切りを行い,内側の骨切り部を開大し自家骨を移植する方法を考案した.これがopen wedge HTO(OWHTO)の始まりである.彼らは260人にこの手術を行い,術後の疼痛がほとんどの例で軽減したが,関節の不安定性がある例では成績がよくなかったとフランス語で報告した.その後1987年に彼の弟子のHernigouら8)がまとまった患者数の成績を英語論文で著して以来,術中や術後の合併症が少ないという観点から,欧米ではHTOが再び見直されるようになった(図2).この方法では腓骨切除の必要がなく,手術中にアライメントを容易に調節可能であるなどCWHTOにはない大きな利点がある.さらにアプローチは内側からであり,前脛骨筋などの足関節背屈筋群の剥離を必要としないため,術後の足関節背屈筋力の低下が起こりにくい.そのためヨーロッパでは2000年代に入り,ドイツやフランスなどを中心にCWHTOからOWHTOへと積極的に転換し始めた.Pudduら9)は骨切り部に対するスペーサ機構を持つプレートを開発し,この手術法の普及に貢献した.

 しかし,術後の合併症を減らし早期荷重を可能とするためには,さらに固定力に優れた内固定材の開発が必要であった.Lobenhoffer10)やStaubliら11)AO財団のKnee Groupを中心に,より固定力の強いプレートの開発が行われた.その結果誕生したのがlocking compression screw機構を持ったTomoFix(Depuy Synthes Co.)である.これにより骨切り部の固定力が飛躍的に高まったことで,HTOが再び見直される時代が幕を開けた.さらに筆者らは自家骨より初期強度に優れ,将来骨に吸収置換される人工骨オスフェリオン(osferion)60(オリンパステルモバイオマテリアル社)を使用することで,手術後早期から全荷重歩行が可能となるような術式を発展させた.その結果,両側同日手術も安全に行うことが可能となった12,13)

 本稿ではHTOの進歩を最新のOWHTO,hybrid closed wedge HTO(Hybrid HTO),そしてdouble level osteotomy(DLO)の順に解説する.

整形外科/知ってるつもり

骨転移外来—骨転移患者の管理と薬物療法を中心とした診療

著者: 森岡秀夫

ページ範囲:P.512 - P.514

骨修復薬の出現

 分子標的薬の開発など,がんに対する治療は著しく進歩し,患者の生命予後は改善の一途をたどっている.しかしこれに伴い,骨転移を生じる患者数も増加傾向にあり1),がん診療において骨転移への対応が重要な課題となっている.骨転移は,患者の生命予後に直接影響を与えることは少ない.しかし,骨転移に伴う疼痛や病的骨折,脊髄麻痺の出現は,患者のperformance status(PS)やquality of life(QOL)を低下させ,原発巣に対する治療継続にとって大きな問題になる.したがって,骨転移を生じた患者の日常生活を支えることは,すべてのがんの治療成績向上に向けた大きなテーマであると考えられる.この点において,運動器を専門とする整形外科が果たす役割はきわめて重要と思われる.

 一方,近年,がん骨転移における分子メカニズムの解明が進み,骨転移の形成には破骨細胞の関与が重要な役割を担っていることが明らかとなった2).これにより,破骨細胞を標的とした骨転移の治療薬が開発され,臨床に用いられるようになった.現在,骨転移の治療薬としては,ビスフォスフォネート製剤と抗RANKL(receptor activator of nuclear factor kappa-B ligand)抗体があり,さまざまな種類のがん骨転移でその有効性が示されている3).これらは骨修復薬(bone-modifying agents:BMA)と言われ,いずれも強力な破骨細胞の活性阻害作用により,骨転移による骨関連事象を抑制することが知られている.

最新基礎科学/知っておきたい

炭酸ガス経皮吸収を用いた筋力増強

著者: 酒井良忠

ページ範囲:P.516 - P.520

はじめに

 炭酸ガス(二酸化炭素)を経皮吸収させて薬理作用をもたらす治療法は,古くからヨーロッパにおいて天然炭酸泉1)が用いられてきた経験がある.この薬理作用は,炭酸ガスの血管拡張作用による血流増加や,ボーア効果を引き起こし,組織への酸素供給を促進する作用が推察されている.また,近年では人工炭酸泉が慢性閉塞性動脈硬化症に用いられたり2-4),天然炭酸泉由来ガス浴が間欠性跛行5)やレイノー症状の改善6)に有用であるとの報告がある.しかしながら,炭酸泉は溶け込む炭酸ガスの量に限界があり,入浴,足浴といった手間がかかる.また,天然炭酸泉由来ガス浴は,事前の入浴の必要性や,ガスの入手が困難なことから普及に問題がある.さらに,炭酸ガスを皮下注入する治療法7,8)も報告されているが,手技が煩雑であり,感染リスクも考えられる.

 われわれはネオケミア株式会社と共同で新たな高濃度炭酸ガス経皮吸収システムの開発と研究を行ってきた.これは炭酸ガス経皮吸収促進剤(ハイドロゲル)を皮膚に塗布し,ビニール製の袋(アダプタ)をかぶせて密閉し,そこに純炭酸ガスを送気して経皮吸収させるものである(図1).これは非常に簡便かつ,侵襲もほとんどないシステムである(国際特許公開番号WO2004/002393).このシステムを用い,われわれはハイドロゲルを用いることで,炭酸ガスが効率的に皮膚を透過できること,人体において人工的にボーア効果をもたらし,ヘモグロビンの酸素解離を促進することを証明している9)

境界領域/知っておきたい

ニューロリハビリテーション—明日からの臨床に役立つ知識

著者: 岡崎英人 ,   園田茂

ページ範囲:P.522 - P.525

はじめに

 脳卒中はリスクとなる疾患の有病率の低下とともに,その発症率は低下してきている1)が,現在でも死因の第4位2)を占める.介護保険の要介護認定においても脳血管疾患が最も多く3),現在でも多くの脳卒中患者が障害を有したまま生活している.そのため,機能障害に対してアプローチを行い,機能回復を目指すことは非常に重要となる.これまで脳の再生は,Cajalが1928年の論文で,成熟した中枢神経は損傷を受けると2度と再生しないと報告し4),近年までその定説が信じられてきた.そのため脳卒中片麻痺のリハビリテーション(リハビリ)は,非麻痺側を使用する代償手段が中心だった.しかし1990年代から麻痺肢の機能回復に伴い運動野の賦活領域が拡大すると報告され,脳卒中後の麻痺の回復は脳の可塑性が関与していると考えられるようになった.この脳の可塑性を利用したリハビリは現在,「ニューロリハビリテーション」として注目されている.本稿では近年行われているニューロリハビリで,実際の臨床で行われている訓練法を中心に解説する.

連載 「勘違い」から始める臨床研究—研究の旅で遭難しないために・12

比較を邪魔しているのは誰だ?

著者: 福間真悟 ,   福原俊一

ページ範囲:P.527 - P.531

 前回,臨床研究で効果や関連を調べる際に重要な比較の質について学びました.たまたま(偶然誤差),比較を邪魔する因子(交絡),データのゆがみ(バイアス)について覚えていますか?

 今回は,この中でも特に重要な,比較を邪魔する因子についての勘違いを取り上げていきたいと思います.

東アフリカ見聞録・6

医療人類学(Medical Anthropology)

著者: 馬場久敏

ページ範囲:P.532 - P.534

 わが家の30坪ほどの小さなポタジェ(potager)には,ツツジのほかに紫陽花や水仙なども植えてある.人の一生は「動物,植物,鉱物」とも言う.子供はカブトムシやフナなどに夢中で,壮年期には花など植物に興味が移っていくことをいうらしい.6月になると陽春の陽射しを受け,紫陽花は大きく葉を広げて薄青い花(正確には萼)をつけ,やがて葉緑素が分解し鮮紅色に色づいていく.今年はオランダ産のムスカデットやファンアイク,ワシントンなど,200数十本のチューリップが初めて紅・黄・紫の花列をみせてくれた.オランダのようなチューリップ畑を,ミニサイズでよいので作りたかったのである.

 “年年歳歳花相似たり 歳歳年年人同じからず”.自然の移ろいとは世の東西を問わず,人の一生より遥かに永い年月を同じような景色で繰り返すものなんだな,などとあらためて想ったりする.美しい生態環境は人びとの精神の自然のヒーラー(healer)であろう.先頃,CNN Newsで,ハーバード大学公衆衛生学グループが,緑に囲まれて生活する女性は腎・呼吸器疾患,がんによる死亡率が12%低下すると報告した,と伝えている.

臨床経験

生命予後とJOAスコア改善率から考える骨粗鬆症性椎体圧迫骨折に対する手術適応と術式選択の妥当性

著者: 飯塚高弘 ,   植田康夫 ,   内藤浩平 ,   山田素久 ,   岩田圭生 ,   岸田宗久 ,   政田憲之

ページ範囲:P.535 - P.543

対象と方法:骨粗鬆症性椎体圧迫骨折の外科治療の適応と術式選択に関して,当科で外科治療を行った症例について後ろ向きに調査を行った.

結果:術前併存症をCharlson comorbidity indexを用いて定量化し,術後の生命予後を調査することで手術適応の是非を検討し,さらに術式間での治療成績を比較検討することで術式選択の妥当性を検証した.

まとめ:手術適応は併存症の程度により慎重に検討されるべきであり,術式選択は併存症の程度により手術侵襲の少ないdownsized surgeryの選択も妥当であると考える.

変性すべりおよび椎間板ヘルニアを合併した腰部脊柱管狭窄症に対する内視鏡下除圧術の成績—日本整形外科学会腰痛評価質問票を用いた解析

著者: 粟飯原孝人 ,   畠山健次 ,   漆原誠 ,   大内純太郎

ページ範囲:P.545 - P.550

背景:変性すべり(degenerative spondylolisthesis:DS)および椎間板ヘルニアを合併した(combined:C)腰部脊柱管狭窄症(lumbar spinal stenosis:S)に対する内視鏡下手術の成績の報告は少ない.

対象と方法:Sに対する内視鏡下除圧術施行例65例を対象とし,日本整形外科学会腰痛評価質問票を用いて術前後の成績を評価した.

結果:術前後の成績はDSもSも同様であり,DSの神経障害はすべりの影響がない程度に改善していた.またCの罹病期間は平均8.74カ月と比較的短いため,S単独よりも成績良好であった.

まとめ:DSやCに対する後方支持組織を温存した内視鏡下除圧手術は有用であると考えられた.

O-arm Navigation SystemはCT Navigation Systemより有用である

著者: 和泉智博 ,   山崎昭義 ,   溝内龍樹 ,   田仕英希

ページ範囲:P.551 - P.556

目的:同一疾患に対し,同一手術で使用したO-armナビゲーションの有用性を検討した.

対象と方法:骨粗鬆症性椎体骨折偽関節に対する椎体形成術と後方固定術において椎弓根スクリュー(PS)の刺入精度をCTナビゲーション(CTナビ)とO-armナビゲーション(O-armナビ)で比較検討した.

結果:PS径半分以内の逸脱率は,CTナビ群(26例)で7.7%(14/182本),O-armナビ群(23例)で3.2%(7/221本)であり,PS径半分以上の逸脱率はCTナビ群で1.1%(2/182本),O-armナビ群で0%と有意にO-armナビ群で低かった(P<0.05).

まとめ:O-armナビはより安全なPS刺入が可能である.

重度の原発性骨粗鬆症性胸腰椎破裂骨折に対して十分な保存療法後に行ったBalloon Kyphoplastyの治療成績

著者: 兵藤弘訓 ,   佐藤哲朗 ,   徳永雅子 ,   高橋永次 ,   中川智刀 ,   柏葉光宏 ,   國井知典 ,   高橋良正

ページ範囲:P.557 - P.565

目的:重度の原発性骨粗鬆症性破裂骨折に対して,十分な保存療法後に行ったballoon kyphoplasty(BKP)の治療成績を検討すること.

対象と方法:動態CTでのflexion CTで骨片占拠率が50%以上の破裂骨折に対してBKPを行い術後1年経過した8例である.損傷高位はT12:1,L1:5,L2:1,L3:1(例)で,体幹ギプスによる整復固定後にBKPを行った.

結果:入院時と術後1年時の腰下肢痛は平均VASが8/10から1/10,座位前壁圧潰率は平均67%から31%,骨片占拠率はneutral CTで平均48%から44%となり,骨癒合率は75%であった.

結論:これまで観血的手術を選択しがちであった重度の原発性骨粗鬆症性破裂骨折に対して,十分な保存療法後にBKPを行うことで良好な成績をあげることができた.

リウマチ膠原病患者の骨粗鬆症に対するデノスマブの有効性と安全性の検討

著者: 萩原圭祐 ,   岸田友紀 ,   中西美保 ,   馬場孝輔 ,   吉川秀樹

ページ範囲:P.567 - P.572

背景:リウマチ膠原病患者におけるステロイド性を中心とした骨粗鬆症に対する抗RANKL抗体デノスマブの有効性と安全性はいまだ確立されていない.

対象と方法:当科での78例の使用例をもとに,その効果と安全性の検討を行った.

結果:デノスマブは,投与6カ月後から,腰椎,大腿骨頚部ともに有意に骨量を増加させ,骨代謝マーカーである尿中NTx,TRACP-5bを有意に低下させた.安全性において,慢性腎不全合併患者で低カルシウム血症の出現を認めたが,歯科的有害事象は認めなかった.

まとめ:デノスマブは,ステロイド性骨粗鬆症治療として有望な薬剤と思われる.

症例報告

脛骨開放骨折後骨髄炎に対して後外側アプローチによる骨接合を行った1例

著者: 鬼沢正道 ,   宇田川和彦 ,   遠藤康広 ,   高橋正明

ページ範囲:P.573 - P.576

 症例は80歳男性で自転車走行中に転倒し受傷した.右脛骨開放骨折および腓骨骨折と診断し,受傷当日にKirschner鋼線と軟鋼線を用いた骨接合術を施行した.閉創困難な創部に対し持続陰圧吸引法を行った.10日目に感染徴候がないことを確認し,二期的に脛骨開放骨折部に髄内釘を挿入したが術後排膿を認めた.バンコマイシン含有セメントビーズ留置で感染を鎮静化させた後,脛骨前面の創部を避け後外側アプローチによる脛骨プレートを用いた骨接合術を実施した.術後1年現在,骨癒合を認め,骨髄炎再発もなく日常生活を送っている.

診断に難渋した大腿骨骨頭内骨肉腫の1例

著者: 藤田将太 ,   須佐美知郎 ,   斎藤誠人 ,   菊田一貴 ,   西本和正 ,   堀内圭輔 ,   佐々木文 ,   亀山香織 ,   中村雅也 ,   松本守雄 ,   森岡秀夫

ページ範囲:P.577 - P.582

 診断に難渋した大腿骨骨頭内骨肉腫の1例を経験した.症例は34歳女性で,左股関節痛を契機に左大腿骨骨頭内に異常陰影を指摘された.生検時の病理組織学的所見では悪性を示唆する所見を認めなかったため,経過観察されていた.しかし,1年で症状は増悪し,画像所見上も病巣拡大および周囲組織への浸潤傾向を認めた.骨肉腫を強く疑い,関節包外切除および再建術を施行した.病理組織学的所見上,紡錘形および卵円形細胞の増生を認め,類骨形成および脈管浸潤があることから,骨肉腫と診断された.骨端部発生の骨肉腫は稀であり,診断に難渋した.

前方・後方同時矯正手術を実施した先天性後弯症の1例

著者: 村上公英 ,   山田宏 ,   筒井俊二 ,   岩﨑博 ,   岩橋弘樹 ,   吉田宗人 ,   宇野耕吉

ページ範囲:P.583 - P.586

 成長期に急激に進行したType 2の先天性後弯症に対し,前方・後方同時矯正手術を実施した.本手術の要点は,変形矯正時に後弯を後方のみから短縮矯正すると脊髄のたくれこみが起こるので,後方短縮しながら前方を開大する必要がある.このため,本症例では側臥位で前後の創を開いた状態で,硬膜管の状態を直視下で確認しつつ,前方開大と後方短縮を同時に行う方法を選択した.本法は先天性後弯症における脊髄麻痺を回避する安全な方法として推奨し得る.

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欧文目次 フリーアクセス

ページ範囲:P.495 - P.495

次号予告 フリーアクセス

ページ範囲:P.587 - P.587

あとがき フリーアクセス

著者: 菊地臣一

ページ範囲:P.590 - P.590

 4月下旬の桜が終わり,緑が輝く時季に6月号のあとがきを書いています.風薫る世間では,多くの人々が入れ替わり,悲喜交交(こもごも)の情景が,今年もみられている筈です.

 1年に四季があるように,人生にも1度きりの四季があります.しかも,人生の四季も,四季と同様に,万人に平等です.

基本情報

臨床整形外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1286

印刷版ISSN 0557-0433

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