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整形外科/知ってるつもり
骨転移外来—骨転移患者の管理と薬物療法を中心とした診療
著者: 森岡秀夫1
所属機関: 1慶應義塾大学医学部整形外科
ページ範囲:P.512 - P.514
文献購入ページに移動分子標的薬の開発など,がんに対する治療は著しく進歩し,患者の生命予後は改善の一途をたどっている.しかしこれに伴い,骨転移を生じる患者数も増加傾向にあり1),がん診療において骨転移への対応が重要な課題となっている.骨転移は,患者の生命予後に直接影響を与えることは少ない.しかし,骨転移に伴う疼痛や病的骨折,脊髄麻痺の出現は,患者のperformance status(PS)やquality of life(QOL)を低下させ,原発巣に対する治療継続にとって大きな問題になる.したがって,骨転移を生じた患者の日常生活を支えることは,すべてのがんの治療成績向上に向けた大きなテーマであると考えられる.この点において,運動器を専門とする整形外科が果たす役割はきわめて重要と思われる.
一方,近年,がん骨転移における分子メカニズムの解明が進み,骨転移の形成には破骨細胞の関与が重要な役割を担っていることが明らかとなった2).これにより,破骨細胞を標的とした骨転移の治療薬が開発され,臨床に用いられるようになった.現在,骨転移の治療薬としては,ビスフォスフォネート製剤と抗RANKL(receptor activator of nuclear factor kappa-B ligand)抗体があり,さまざまな種類のがん骨転移でその有効性が示されている3).これらは骨修復薬(bone-modifying agents:BMA)と言われ,いずれも強力な破骨細胞の活性阻害作用により,骨転移による骨関連事象を抑制することが知られている.
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