icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科51巻6号

2016年06月発行

文献概要

整形外科/知ってるつもり

骨転移外来—骨転移患者の管理と薬物療法を中心とした診療

著者: 森岡秀夫1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部整形外科

ページ範囲:P.512 - P.514

文献購入ページに移動
骨修復薬の出現

 分子標的薬の開発など,がんに対する治療は著しく進歩し,患者の生命予後は改善の一途をたどっている.しかしこれに伴い,骨転移を生じる患者数も増加傾向にあり1),がん診療において骨転移への対応が重要な課題となっている.骨転移は,患者の生命予後に直接影響を与えることは少ない.しかし,骨転移に伴う疼痛や病的骨折,脊髄麻痺の出現は,患者のperformance status(PS)やquality of life(QOL)を低下させ,原発巣に対する治療継続にとって大きな問題になる.したがって,骨転移を生じた患者の日常生活を支えることは,すべてのがんの治療成績向上に向けた大きなテーマであると考えられる.この点において,運動器を専門とする整形外科が果たす役割はきわめて重要と思われる.

 一方,近年,がん骨転移における分子メカニズムの解明が進み,骨転移の形成には破骨細胞の関与が重要な役割を担っていることが明らかとなった2).これにより,破骨細胞を標的とした骨転移の治療薬が開発され,臨床に用いられるようになった.現在,骨転移の治療薬としては,ビスフォスフォネート製剤と抗RANKL(receptor activator of nuclear factor kappa-B ligand)抗体があり,さまざまな種類のがん骨転移でその有効性が示されている3).これらは骨修復薬(bone-modifying agents:BMA)と言われ,いずれも強力な破骨細胞の活性阻害作用により,骨転移による骨関連事象を抑制することが知られている.

参考文献

1) 日本整形外科学会骨軟部腫瘍委員会:全国骨腫瘍登録一覧表.国立がん研究センター,2013.
2) Yoneda T, Hiraga T. Crosstalk between cancer cells and bone microenvironment in bone metastasis. Biophys Res Commun 2005;328:679-87.
3) 日本臨床腫瘍学会(編):骨転移診療ガイドライン.南江堂,2015.
4) 森岡秀夫:骨転移診療の新しい流れ.日整会誌2013;87:S1089.
5) 森岡秀夫:骨転移外来の役割とその実際について.日整会誌2014;88:S1105.
6) 眞鍋 淳:がん骨転移に対する集学的治療—骨転移Cancer BoardとBone Management.癌の臨床2012;58:43-50.
7) 中田英二,杉原進介,尾崎敏文:院内骨転移登録システムの意義.日整会誌2011;85:S766.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら