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雑誌目次

雑誌文献

臨床整形外科51巻8号

2016年08月発行

雑誌目次

誌上シンポジウム 脊椎診療ガイドライン—特徴と導入効果

緒言—脊椎診療ガイドライン—現状と将来展望 フリーアクセス

著者: 川口善治

ページ範囲:P.692 - P.692

 診療ガイドラインとは,エビデンス(科学的根拠)に基づき系統的な手法により作成された推奨を含む文書である.これを用いることによって,医療者は膨大な情報の中から科学的に立証されている適切な治療を選択できる.また患者は自分に施される医療を受け入れるか否かの判断材料を得ることができる.1992年,イギリスで始まったコクラン共同計画は,以上のコンセプトで作成されたガイドラインの先駆けであり,現在でもエビデンスの高いシステマティックレビュー(コクランレビュー)を集め,これを編集し随時世界に配信し続けている.日本でも2011年以来,厚生労働省の外郭団体であるMindsが日本語での診療ガイドラインの情報を提供している(Mindsのホームページ:http://minds.jcqhc.or.jp/n/).

 これらの流れを受け,日本整形外科学会はこれまでに14の診療ガイドラインを監修し発刊してきた.このうち脊椎に関するものは5つ(頚椎症性脊髄症,腰椎椎間板ヘルニア,頚椎後縦靱帯骨化症,腰部脊柱管狭窄症,腰痛)にのぼる.この中にはすでに内容を改訂したものが2つ含まれている.今回の誌上シンポジウムでは,5つの脊椎に関する診療ガイドラインに対し,中心的に携わられた先生方にそれぞれの特徴を解説いただいた.内容を垣間みるとそのご苦労の後がよく読み取れる.心からの感謝を申し上げる次第である.

診療ガイドラインの歴史と必要性

著者: 高橋和久

ページ範囲:P.693 - P.696

 医療の高度化,複雑化に伴い,有効性,安全性,経済性などの客観的評価への要請が高まり,診療ガイドラインがつくられてきた.診療ガイドラインは「患者のケアを最善とするためのさまざまな推奨を含む文書であり,それらの推奨はエビデンスを系統的に検索し,他に選択しうるケアの利害得失を評価することにより情報化されたもの」であり「診療の指針」である.個々の診療は医師と患者の十分な意思疎通のうえで行われるべきであり,診療ガイドラインの意義,役割,限界点などについては常に検証していく必要がある.

腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン

著者: 宮本雅史 ,   中嶋隆夫

ページ範囲:P.697 - P.701

 腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン改訂版について概略を示し,初版との変更点を解説した.主な点は椎間板ヘルニア発症の遺伝的要因,ヘルニアの自然退縮機序,内視鏡手術の治療効果に関する記載であり,クリニカルクエスチョンが新設された.また外側型腰椎椎間板ヘルニアについて解説を掲載した.馬尾症候群に対する早期治療の必要性について一部修正を加えた.保存的治療と手術的治療の比較については,近年,多施設前向き観察研究の結果が報告されているが,解析方法が適切でないと判断される点もあり,限定的な結論として解釈した.

腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン

著者: 佐藤栄修

ページ範囲:P.703 - P.708

 腰部脊柱管狭窄症は高齢社会の現在,その診療機会が非常に多い.従来,その定義は一定でなく,診断基準も存在しなかった.ガイドライン委員会では新たな定義を紹介し診断基準を提案した.作成過程に触れるとともに,17項目のクリニカルクエスチョンを提示し,自然経過,各種治療法,予後についてエビデンスに基づいて説明を加えた.また導入効果について考察したが,現時点では診断と治療の指針となりうると思われた.しかし,この領域の診断・治療の進歩は著しく,最近の質の高い研究の集積をもとにした改訂ガイドラインの発刊が望まれる.

頚椎後縦靱帯骨化症診療ガイドライン

著者: 岩﨑幹季

ページ範囲:P.709 - P.714

診断:後縦靱帯骨化を頚椎に画像上確認でき,それによる臨床症状が出現している場合を頚椎後縦靱帯骨化症(OPLL)と診断する.CTで初めて視認できる後縦靱帯の小骨化巣は,診断要件としての後縦靱帯骨化とはしない.

疫学・病因:OPLLは中年男性に多い.後縦靱帯骨化の発生には遺伝的背景が関係しているものの,遺伝様式は断定されていない.OPLLは全身の骨化傾向の強い症例が多く,胸椎後縦靱帯骨化や胸椎黄色靱帯骨化を合併しやすい.脊髄障害の機転については,骨化の程度と神経麻痺の程度は必ずしも相関しないが,骨化占拠率が50%を超えると脊髄症状発症の危険が高い.

治療:手術方法としては前方法と後方法があり,両者に明らかな手術成績の差はないが,骨化占拠率が高い症例は後方除圧単独では成績不良となる危険性が高い.

腰痛診療ガイドライン

著者: 土井田稔

ページ範囲:P.715 - P.718

 腰痛診療ガイドラインは,一般臨床医を対象として,腰痛の診断と治療に関するエビデンスに基づいた正確な知識と情報を提供することにより,腰痛患者に対して,そのトリアージとプライマリ・ケアが可能となることを目的とした.本ガイドラインでは,非特異的腰痛を定義し,診断では危険因子を見逃さないことが重要であることや診断のアルゴリズムを提示した.腰痛の発症と遷延に心理社会的因子が関与していること,治療に安静は有効ではないが,慢性腰痛には運動療法が有効であることなどを明確にした.医師,患者双方にとって有益な情報が提供されたことを確信する.

最後に

著者: 菊地臣一

ページ範囲:P.719 - P.719

 世間から脊椎診療ガイドラインが求められるようになった背景には,3つの要素がある.1つは,国民や第3者からの医療の普遍性,標準化の要求の高まりである.次に,評価可能な研究機関の増加である.これにより,診断の妥当性(精度),そして治療の有効性や安全性が正確に評価できるようになった.最後に,高齢社会の到来による脊椎の診療における医療費の高騰である.

 EBM(evidence-based medicine)という学問の確立が,このような人々からの要求に応えることを可能にした.

Lecture

広範囲腱板断裂に対する鏡視下手術の位置づけ

著者: 高橋憲正 ,   菅谷啓之

ページ範囲:P.720 - P.728

はじめに

 広範囲腱板断裂は,しばしば陳旧性となって有症状となることがあり,その治療の選択に難渋することが少なくない.疼痛や機能改善を目的としてステロイド注射や理学療法がしばしば有効であるが,断裂した腱は修復されないため保存療法では筋力の回復は得られない.したがって機能回復をめざし手術が選択されるが,陳旧性の断裂では,筋の萎縮や脂肪変性が進行し断端の可動性が著しく低下するため,一次修復が困難であったり,修復した腱板に過度な緊張が生じ容易に再断裂を生じうる.2014年4月から本邦にリバース型人工肩関節(以下,RSA)が導入され,70歳以上の偽性麻痺を伴う一次修復困難な広範囲腱板断裂がRSAの適応となった.一方で若年者の断裂では従来どおり鏡視下手術が第一選択となる.本稿では,広範囲腱板断裂の診断と手術適応について述べ,現在の鏡視下手術の位置づけとその実際を紹介する.

整形外科/知ってるつもり

座標系なんて考えないといけないの?

著者: 楫野良知 ,   加畑多文 ,   前田亨 ,   井上大輔 ,   山本崇史 ,   高木知治 ,   大森隆昭 ,   土屋弘行

ページ範囲:P.730 - P.734

はじめに

 座標系(coordinate system)という言葉をみただけで,このページを読み飛ばされる先生もいることだと思う.自分自身も数年前まで座標系のことなど全く考えていなかったし,失礼ながら数式が書かれたような論文は興味もなく読み飛ばしていた.ただし整形外科では,関節可動域,Cobb角,Q angleや脚長差などさまざまな指標を計測して手術適応を決めたり,臨床評価をしたりしているが,いずれも無意識に空間上あるいはX線上に座標系を考え,2つの線がなす角度や距離を計測していることに他ならない(図1).今回,「人工関節における座標系」をテーマにこの原稿を書く機会を得たので,幾何学の素養はない素人ではあるが,人工股関節全置換術(以下,THA)を例にとって座標系というものについて考えてみたい.

境界領域/知っておきたい

脊椎脊髄外科専門医制度—整形外科と脳神経外科の融合

著者: 中村博亮

ページ範囲:P.736 - P.739

はじめに

 2014年(平成26年)5月に日本専門医機構が発足し,新しい専門医制度が開始されようとしている.専門医を,神の手を持つ医師ではなく,【それぞれの診療領域における適切な教育を受けて,患者から信頼される標準的な医療を提供できる医師】と定義した.この専門医制度は,診療現場で日常的に必要とされる診療領域単位で構築される.脊椎脊髄疾患を対象とした診療領域としては,日本整形外科学会を基本診療領域学会とする日本脊椎脊髄病学会と,日本脳神経外科学会を基本診療領域学会とする日本脊髄外科学会が,個別に指導医・認定医制度を構築してきた.しかし,日本専門医機構の方針に従って,脊椎脊髄外科を1つの診療領域として専門医制度を構築する必要性が生じた.日本脊椎脊髄病学会と日本脊髄外科学会がお互いに協議し,脊椎脊髄外科専門医制度を構築するため,共同で作業部会を立ち上げ検討を行ってきた.わが国の専門医制度の歴史を振り返るとともに,共同作業部会で行ってきた経過を紹介する.

連載 東アフリカ見聞録・8

黄昏に浮かぶ大地溝帯(West Great Rift Valley in the Twilight)

著者: 馬場久敏

ページ範囲:P.740 - P.743

 ウガンダは東西の大地溝帯(great rift valley)の狭間にあり,数百万年前の太古の火山火口であったビクトリア湖の高地から,スーダン平原になだらかに下降する湿地帯(Ugandan plateau)に位置している.ウガンダとケニアを分ける東部大地溝帯はソマリア・プレートの上にあるが,コンゴを隔てる西部大地溝帯は,それとは別のヌビア・プレートの上にある.大陸移動によりこの2つのプレートは,ちょうどウガンダ平原からビクトリア湖,タンガニーカ湖およびマラウイ湖に沿って年に何cm程度か西と東に離れていっているという.数万年後には紅海のような海がウガンダの国内に生じるのだそうである.ペルシア湾,紅海,それに“ウガンダ海(?)あるいはビクトリア海(?)”ができるのか…….ウガンダ北部はサバンナ気候ではあるが,南部は熱帯雨林の様相を呈し,水資源が豊富で農林業も発達している.近年は西部のアルバート湖付近で大油田が発見され,ジンジャの大規模水力発電と併せて鉱工業の発展も著しい.

 東部大地溝帯の麓,ケニアとの国境にあるムバーレ県は人口約50万人で,その県都ムバーレ(Mbare・人口は約9万人)はウガンダ東部の要衝で,トロロの大水田地帯を北上し,エルゴン山国立公園の裾野に位置する小さな町だ.巡礼の聖地であるエルゴン山は標高4,900mで,東部大地溝帯にありケニアとの国境をなしている.この地に住む人びとは,本来は遊牧民であるエチオピア系のエルゲヨ族が多く,他にマサイ族やスーダン系ルオ族が住んでおり,そのうちマサイ族ははるかタンザニア南部にまで居住地を拡散させた.地元のエルゲヨ族の言葉はカンパラのガンダ族には通じにくいという.首都カンパラのガンダ族は,都会の主要部族とはいえ,全人口の約20%しかいないのだ.ウガンダは正式に登録されているだけで52部族もある国家である.実はこのことが19世紀以来,度々起こっている部族紛争(戦争・内戦)の原因の一部にもなっている.戦いの原因は牛や羊の盗難,農耕地や牧草地の奪い合いや水資源などである.エルゴン山系はインド洋からの湿った大気が大量の雨をもたらす.西のルウェンゾリ山系とともに,この地は進化生物学では極めて熱い注目を浴びている土地でもある.

臨床経験

アキレス腱断裂の手術療法と保存療法における足関節底屈筋力回復時期の比較

著者: 飛田正敏 ,   市本裕康 ,   勝部浩介 ,   河野大助 ,   野﨑健治 ,   山縣大樹 ,   佐藤匡哉 ,   齊鹿稔

ページ範囲:P.745 - P.749

目的:アキレス腱断裂に対する手術療法と保存療法との間で,最終的な筋力回復に差はないが,前者の筋力に後者の筋力が追いつく時期の詳細は不明である.本研究の目的は,この時期を明らかにすることである.

対象と方法:アキレス腱断裂に対する手術療法(14例)と保存療法(ギプス4週間固定8例,6週間固定7例)との間で,受傷後2,3,4カ月時の足関節底屈筋力の健患側比を比較して筋力回復の時期を調査した.

結果:2カ月時の足関節底屈筋力は手術群がギプス4週群と6週群に対して有意に高値であった.3カ月時にはギプス4週群と手術群との間で有意差が認められなくなり,4カ月では3群とも同様の値となった.

まとめ:手術療法が保存療法(ギプス4週群)に対して筋力回復で有利な時期は,受傷後2〜3カ月の間の1カ月間であった.

手指発生の表皮囊腫—指に発生する腫瘍性疾患との鑑別

著者: 赤羽努 ,   池上みのり ,   森直哉 ,   塩澤律

ページ範囲:P.751 - P.755

背景:手指発生の表皮囊腫は体幹に比すると少なく,ガングリオンや腱鞘巨細胞腫などとの鑑別は臨床上重要である.

対象と方法:手指に発生した表皮囊腫12例の病歴,局所所見,画像所見および治療法を検討した.

結果:囊腫病変がMRIなどで描出され,穿刺で診断が確定したものが多かったが,囊腫構造が描出されず,摘出生検で診断が確定した症例が3例みられた.

まとめ:表皮囊腫のMRI像は,粥状内容物を反映してT1強調像が筋より高信号を呈する点と,囊腫壁がガングリオンより厚くなることが重要と考えた.

症例報告

石灰沈着性頚長筋腱炎の2例

著者: 山田英莉久 ,   関康弘 ,   草野和生 ,   白澤進一

ページ範囲:P.757 - P.761

 石灰沈着性頚長筋腱炎とは,強い頚部痛,嚥下時痛,頚部可動制限を症状とする疾患である.今回,当初,当科で咽後膿瘍を疑ったが,内科で石灰沈着性頚長筋腱炎の診断に至った症例と,その経験を生かし当科で本疾患と診断し,治療で改善した症例を経験した.頚部痛は整形外科外来において一般的な主訴であるが,本疾患の報告は少なく,見逃されているケースが少なくないように思われる.CTは骨条件で石灰化の存在が確認でき,軟部条件で椎前間隙の液体貯留が描出できるため,有用な検査である.

両側同時発生の上腕骨近位端骨折患者において,振り子運動可能な肩装具が手術後の固定とリハビリテーションに有用であった1例

著者: 中光紳一 ,   永淵慎一郎 ,   牛島正博 ,   中野浩志 ,   坂井伸朗

ページ範囲:P.763 - P.768

 両側同時発症の上腕骨近位端骨折患者の治療を経験し,術後の固定肢位と可動域訓練に苦慮したが,新しい肩装具を考案することで解決したので報告する.

 症例は75歳女性で,夜間にトイレに行こうとして布団から立ち上がった際につまずき,壁に顔から激突し転倒した.左右とも外科頚・大結節・小結節に骨折線の入る粉砕骨折で,AO骨折分類の11-B1.1であった.両側とも髄内釘固定術を行った.術後の固定肢位は,肩では生理的基本位(屈曲0°・外転0°・内旋30°),肘は90°屈曲位とした.この体位に合わせたクロスしたストラップを持つ装具を考案した.手術翌日から装着し,食事や読書など,自由な手の使用を許可した.ストラップで肩から肘・前腕を吊るし,座位や立位姿勢で前後方向に振り子運動を行わせた.手術後の手の機能制限は少なく,装具は快適で装着性はよかった.術後8週目で,肩関節にはほとんど疼痛なく,自動で屈曲170°以上の挙上が可能となった.この装具は,上肢に対して適度の固定性と軽度の運動性を持つために,患者にとって術後の他動的可動域訓練の早期導入と快適な生活が可能であったと考える.

著明な不良肢位を伴う股関節脱臼を来した不随意運動型脳性麻痺の1例

著者: 西山正紀 ,   山田総平 ,   中野祥子 ,   西村淑子 ,   二井英二

ページ範囲:P.769 - P.772

 著明な屈曲内転拘縮により左股関節の後下方脱臼を来した,不随意運動型脳性麻痺の1例を経験した.55歳,女性で常時左膝立ての状態であり,左下肢は軽度の刺激で緊張が亢進し,左股関節痛は増強した.CTでは,左大腿骨頭内下方部が臼蓋縁下方に接し,hingeとなって脱臼していた.高度の屈曲,内転拘縮に対し,左股関節の前方,内方からの筋解離術と左膝の筋解離術を行い,左股関節は整復され,臥位,座位での肢位と疼痛は改善した.脱臼の整復には,拘縮の程度に加え,骨頭変位の程度がより影響すると考えられた.

高度骨破壊を呈したcompromised hostの腰椎化膿性脊椎炎に対して最小侵襲脊椎安定術(MISt)とテリパラチドの投与が有効であった1例

著者: 村上公英 ,   山田宏 ,   橋本忠晃 ,   岡田基宏 ,   中村憲太 ,   中谷如希 ,   吉田宗人

ページ範囲:P.773 - P.776

 近年,免疫力の低下した患者や高齢者の増加により,化膿性脊椎炎の発生件数が増加している.症例はcompromised hostの61歳男性に生じた高度骨破壊性病変による後弯変形を伴った腰椎化膿性脊椎炎である.本症例に対して,最小侵襲脊椎安定術(minimally invasive spine stabilization:MISt)とテリパラチド併用療法を施行した結果,短時間に骨欠損部の椎体に骨新生が生じ治癒せしめることができた.Poor risk症例に対し,従来の治療法を適応すると予後不良となる恐れがあるが,今回の治療法は,低侵襲・安全でかつ床上安静・外固定簡略化,骨新生促進が期待できる治療法といえる.

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欧文目次 フリーアクセス

ページ範囲:P.691 - P.691

次号予告 フリーアクセス

ページ範囲:P.783 - P.783

あとがき フリーアクセス

著者: 土屋弘行

ページ範囲:P.786 - P.786

 イチロー選手が,これまでピート・ローズの持つ生涯安打数記録を日米通算で更新しました.世界記録と言ってもいいと思います.イチロー選手のようなすごい日本人がどんどん出てきてほしいですね.その一方で英国では,国民投票によりEU離脱派が僅差で勝利し,世界経済が混乱に陥っています.アベノミクスでデフレ脱却を図ろうとしている日本にも暗雲が立ち込めてきそうです.ラグビーワールドカップや東京オリンピックを控える日本が,元気であり続けてほしいと願っているのは,皆さん一緒だと思います.

 さて,今月の誌上シンポジウムは「脊椎診療ガイドライン」です.日本整形外科学会が作成している16のガイドラインのうち,5つが脊椎領域のガイドラインとなっています.ガイドラインは診断と治療の手引として使用されるわけですが,最近では医療訴訟にも大きな影響力を及ぼすようになってきました.川口善冶先生の討論のポイントと高橋和久先生の診療ガイドラインの歴史と必要性からはじまり,著名な先生方による各ガイドラインの説明,そして最後には,菊地臣一先生が問題点と課題について解説して締めくくっています.脊椎診療ガイドラインのすべてが,このシンポジウムに凝縮されたかたちで,読者は一気にガイドラインに対する知識を深めることができます.

基本情報

臨床整形外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1286

印刷版ISSN 0557-0433

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