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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科52巻10号

2017年10月発行

文献概要

視座

老年医学で思うこと

著者: 大鳥精司1

所属機関: 1千葉大学大学院医学研究院整形外科学

ページ範囲:P.929 - P.929

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 最近,老年医学という言葉をよく耳にする.特に平均寿命と健康寿命の差が男女ともに10年以上あり,いかにそのギャップを短縮させるかが国からの宿題となっている.その1つとして,整形外科的にはロコモティブシンドローム,内科的にはサルコペニア,フレイルの啓発がその最たるものである.先日参加した内科中心の日本老年医学会では,ほとんどの演題が,サルコペニア,フレイルで占められていたのには大変驚いたとともに,それぞれの学会の思惑は別としても,これらの領域への関心が高いことが覗える.

 整形外科において,骨・軟骨研究は以前から行われていたが,高齢者の筋に関した研究はあまり進んでこなかった.従来から,骨粗鬆症,筋減少は一見独立した疾患と考えられてきたが,最近になり,さまざまな疫学研究から両者の相似が報告されてきた.フィンランドの報告によると,筋減少を伴う女性はそうではない女性と比べて骨粗鬆症が13倍高く,握力(筋力)の低下群では骨粗鬆症が12倍多いとされた.また筋減少を伴う女性は,そうでない女性と比べて骨折が3倍多く,転倒が2倍多いとされる.この理由として,骨粗鬆症に関連するビタミンD受容体は筋にも存在し,欠乏するとtype II筋線維の萎縮をもたらし,ビタミンDの低下は,直接的に筋量低下をもたらすと報告された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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