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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科52巻10号

2017年10月発行

文献概要

連載 慢性疼痛の治療戦略 治療法確立を目指して・18

—合併症への対応—薬物依存の問題

著者: 鈴木勉1

所属機関: 1星薬科大学薬物依存研究室

ページ範囲:P.976 - P.978

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はじめに

 整形外科領域における疼痛治療には薬物療法として非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が中心に用いられてきた.しかし,NSAIDsによる消化管障害や腎障害,十分な鎮痛効果が得られないなどから,副作用が少なく,もっと強力な鎮痛薬が待望されていた.そのような中で,Caチャネルα2δサブユニットリガンドであるプレガバリンが登場し,神経障害性疼痛と線維筋痛症に適応されている.さらに,トラマドールががん性疼痛だけでなく,慢性疼痛にも適応拡大された.また,トラマドールにアセトアミノフェンを配合した製剤も慢性疼痛に適応されている.さらに,ブプレノルフィン貼付剤が非オピオイドで治療困難な変形性関節症および腰痛に伴う慢性疼痛に,フェンタニル貼付剤も弱オピオイドで治療困難な中等度から強度の慢性疼痛に適応されている.これらの薬物は,米国で規制薬物として扱われているが,わが国ではブプレノルフィンとフェンタニルが向精神薬および麻薬取締法で規制されている.そこで,本稿ではこれらの薬物依存について述べる.

参考文献

1) Schwan S, Sundström A, Stjernberg E, et al. A signal for an abuse liability for pregabalin-results from the Swedish spontaneous adverse drug reaction reporting system. Eur J Clin Pharmacol 2010;66:947-53.
2) 田中輝明,久住一郎.Pregabalin投与中止に伴って抑うつ症状が繰り返し出現した帯状疱疹後神経痛の1例.第23回日本臨床精神神経薬理学会,第43回日本神経精神薬理学会合同年会プログラム・抄録集2013;211.
3) Hasanein P, Shakeri S. Pregabalin role in inhibition of morphine analgesic tolerance and physical dependency in rats. Eur J Pharmacol 2014;742:113-7.
4) Nakamura A, Narita M, Miyoshi K, et al. Changes in the rewarding effects induced by tramadol and its active metabolite M1 after sciatic nerve injury in mice. Psychopharmacology (Berl) 2008;200:307-16.
5) 鈴木 勉.拮抗性鎮痛薬の使用法と問題点.ターミナルケア2003;13:33-8.
6) 日本緩和医療薬学会企画委員会(編).臨床緩和医療薬学.東京,真興交易 医書出版部.2008,p.167-74.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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