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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科52巻10号

2017年10月発行

文献概要

症例報告

著明な鎖骨角状変形,交差咬合など非対称性骨格変形を生じた筋性斜頚の1例

著者: 西山正紀1 山田総平1 中野祥子3 西村淑子3 二井英二3 松村佳彦2

所属機関: 1国立病院機構三重病院整形外科 2国立病院機構三重病院歯科口腔外科 3三重県立子ども心身発達医療センター整形外科

ページ範囲:P.1011 - P.1014

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 先天性筋性斜頚の鎖骨変形として,胸鎖乳突筋起始部の肥大や骨棘形成を生じることがあり,稀に角状変形も来しうる.今回われわれは,6歳女児の重症例を経験した.著明な斜頚位と顔面非対称,可動域制限に加え,鎖骨の高度な角状変形と下顎骨偏位による交差咬合を伴っていた.斜頚手術として胸鎖乳突筋の上端切離と下端部分切除術を施行し,鎖骨角状変形は回復したが,交差咬合と顔面非対称は残存した.高度の筋性斜頚の場合,非対称性骨格変形として咬合不全を伴う口腔外科領域への注意も重要で,早期の斜頚手術が必要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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