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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科52巻11号

2017年11月発行

文献概要

Lecture

難治性慢性疼痛に対するリエゾン診療

著者: 大谷晃司12

所属機関: 1福島県立医科大学医療人育成・支援センター 2福島県立医科大学医学部整形外科

ページ範囲:P.1045 - P.1048

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難治性慢性疼痛の病態仮説

 発症後3カ月以上経過しても疼痛が改善しない疼痛は,慢性疼痛と定義される.特に,各種治療法を駆使しても疼痛が改善されない疼痛,疼痛によって生じている機能障害,あるいは,疼痛が残存する現状に満足できない状態のような「治療に難渋する」疼痛を難治性疼痛と呼ぶ1)(図1).疼痛の難治化には,多かれ少なかれ,解剖学(身体)的な原因のみならず,心理的あるいは社会的因子,個人の性格や人格的な問題,あるいは精神医学的疾患の関与が複雑に絡み合っていると考えられている.慢性疼痛を「生物・心理・社会的症候群」として捉えるべきであるとされる所以である2).一方,最近の神経科学の進歩から,脳機能が疼痛の先鋭化や遷延化に関与していることが明らかにされつつある3)

参考文献

1)大谷晃司.チーム医療における心身医学的アプローチ.福島県立医科大学附属病院における運動器の慢性疼痛患者に対するリエゾン診療.心身医学2011;51:709-14.
2)Kikuchi S. New concept for backache:biopsychosocial pain syndrome. Eur Spine J 2008;17(Suppl 4):421-7.
3)半場道子.痛み治療の新しい視点“Mesolimbic dopamine system”.THE BONE 2013;27:87-91.
4)大場眞理子,丹羽真一.リエゾン精神医学.綜合臨牀2003;52:1773-4.
5)笠原 諭,丹羽真一.リエゾン精神医療というアプローチを学ぼう.リエゾン精神医療とは.整形外科看護2008;13:1178-86.
6)二階堂琢也,菊地臣一,大谷晃司・他.非特異的腰痛の臨床像.心理社会的要因と脳画像の特徴.J Spine Res 2016;7:192.
7)佐藤勝彦,菊地臣一,増子博文・他.脊椎・脊髄疾患に対するリエゾン精神医学的アプローチ(第2報).整形外科患者に対する精神医学的問題評価のための簡易質問表(BS-POP)の作成.臨整外2000;35:843-52.
8)大谷晃司.第2回腰部脊柱管狭窄講演会講演集2.臨床(1)診断の落とし穴,リエゾン診療.J Spine Res 2010;1:203-8.
9)大谷晃司.慢性腰痛(下肢症状も含む)における精神医学的評価と治療.MB Orthop 2012;25(7):49-54.
10)矢吹省司:運動器の痛みの心理的側面と未来へ向けたリエゾンアプローチ.日整会誌2016;90:387-93.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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