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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科52巻4号

2017年04月発行

症例報告

大腿骨頚部脆弱性骨折の3例

著者: 益原健太1 上田譲1 松尾知彦1 藤島弘顕1 後藤晃1 信貴経夫1 津田隆之1

所属機関: 1箕面市立病院整形外科

ページ範囲:P.403 - P.407

文献概要

 転倒の既往なく発症した大腿骨頚部脆弱性骨折の3症例を経験したので報告する.対象は全例女性,年齢は64,88,89歳であった.明らかな外傷歴はなく荷重時の股関節痛が出現し,1例のみ歩行可能であった.3例とも発症初期の単純X線では骨折線を認めなかった.骨密度測定(DXA法)では,YAM値56.3%(47〜62%)と著明な骨密度低下を認めた.1例に観血的固定術,2例に人工骨頭置換術を施行した.大腿骨頚部骨折(内側型)は通常,転倒などの外傷で発症するが,外傷歴のない脆弱性骨折が数%程度存在すると推測され,著明な骨密度低下との相関が示唆された.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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