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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科52巻6号

2017年06月発行

文献概要

症例報告

後脊髄動脈症候群に椎体梗塞を合併した1例

著者: 美馬雄一郎1 小栁貴裕1 船尾陽生1 磯貝宜広1 大門憲史1

所属機関: 1川崎市立川崎病院整形外科

ページ範囲:P.587 - P.592

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 高血圧の既往を持つ74歳女性が,軽い運動後に左下肢しびれ・脱力を生じ,2日後に歩行困難となり,尿閉も出現した.核磁気共鳴画像(MRI)軸射像でTh12-L1レベルの脊髄後索に限局したT2高輝度変化を,脂肪抑制(STIR)像でL2椎体に左側優位の高輝度変化を認めた.椎体梗塞を伴う後脊髄動脈症候群でリハビリテーションと自己導尿で加療したところ,発症4カ月で屋内杖歩行が可能となり,自己導尿も離脱した.発症6カ月以降は明らかな日常生活動作(ADL)の改善はなく,1年半の現在,排尿は支障ないが便秘は残存し,杖で断続的な屋外歩行が可能なレベルにとどまっている.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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