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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科52巻8号

2017年08月発行

文献概要

論述

人工膝関節置換術の術後疼痛管理およびリハビリテーションに術中塩酸モルヒネ投与は有用か

著者: 千葉裕美1 杉田健彦1 高橋美希子1 宮武尚央1 佐々木啓1 吉田美智子1

所属機関: 1本間記念東北整形外科・東北歯科

ページ範囲:P.769 - P.773

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背景:多剤カクテル療法は人工膝関節置換術(TKA)の術後疼痛管理に対して有効性が認められている.この多剤カクテル注射(以下,カクテル注射)に塩酸モルヒネを用いる報告が多数あるが,その効果は明らかではない.

対象と方法:今回,カクテル注射内もしくはくも膜下へモルヒネを混注し,術後鎮痛やリハビリテーションに与えるモルヒネの影響を検討した.

結果:カクテル注射内混注の有無による鎮痛効果に有意差はみられず,くも膜下投与では術後平均20時間までの鎮痛効果が優れていたが,副作用である嘔気・嘔吐では劣っていた.一方,リハビリテーションへの好影響はみられなかった.

まとめ:カクテル注射へのモルヒネ混注の有用性は認められなかった.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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