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境界領域/知っておきたい
骨転移に対する職種・診療科横断的なアプローチ
著者: 髙木辰哉1
所属機関: 1順天堂大学整形外科・リハビリテーション科・緩和ケアセンター
ページ範囲:P.70 - P.73
文献購入ページに移動現在では,一生の中でがんに罹患することがある人は2人に1人とも言われている.がんとともに生きる期間が長くなり,多くのがんサバイバーの方たちが,治療と並行して家事や仕事をしながら生活している.がんと共存する患者さんたちにとっては,「助かるどうか」とともに「どれだけ人間らしく生活できるか」が大切になってきている.人間らしい生活を考えるとき,食事や排泄が自分自身でできたり,さまざまな苦痛や不安が軽減されることが望ましいわけであるが,根本的な部分の1つに,「歩く」,「動ける」ということが挙げられるだろう.それを妨げるがんによる運動器障害にはどのようなものがあるだろうか?
がんによる運動器障害には,がんそのものによって起こるものや,がん治療に伴って起こるもの,高齢であることなどの個人的な背景からも起こり得る.もともとの脊椎関節変形,抗がん剤やホルモン治療あるいは放射線治療による二次的な骨粗鬆症や骨脆弱性,リンパ節転移やその切除・放射線照射によるリンパ浮腫,悪液質などによるサルコペニア(筋肉量の減少),がんの進行や手術・化学療法による体力低下とそれに伴う不動によって起こる廃用症候群と疼痛,薬剤治療による末梢神経障害なども対象になるが,骨転移によって引き起こされる疼痛や骨折および麻痺は,その中でも重篤な状態となるリスクが高いため,大きな問題となる(表1).
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