文献詳細
文献概要
誌上シンポジウム 椎間板研究の最前線
緒言 フリーアクセス
著者: 西田康太郎1
所属機関: 1神戸大学大学院整形外科脊椎外科部門
ページ範囲:P.944 - P.944
文献購入ページに移動腰椎椎間板は人体最大の無血管組織であるがために,その再生能力には大きな限界がある.ヒトの髄核にはわずか6,000個の細胞しか生存していないとされる.無血管に伴う低酸素・低栄養状態ではこれくらいの細胞数しか維持できないのであろう.また逆に,髄核細胞はこの環境に適応し高度に分化した細胞であるともいえる.このわずかな数の細胞が,細胞外基質の塊のような大きな椎間板の恒常性を維持しているというところに,そもそも無理があるように思えて仕方がない.また,理想的な椎間板変性モデルの作成が難しい.臨床をよく反映した動物モデルに乏しく,また作成にも技術を要するものが多い.さらにいうと,in vitroや小動物ならともかく,上記の環境に伴う必然として椎間板の基質はvery slow turnoverとならざるを得ない.その結果,何らかの治療に伴う生物学的な効果が,形として認識されるようになるためには非常に時間がかかる.
掲載誌情報