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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科53巻2号

2018年02月発行

文献概要

視座

手術が上手であるということ

著者: 岡崎賢1

所属機関: 1東京女子医科大学医学部整形外科

ページ範囲:P.95 - P.95

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 外科医は誰しも「上手な手術」にあこがれる.外科医は,少なくともその道を選んだときは,手術を併用した診療という職業に魅力を感じて,外科医になったわけである.「手術が上手である」という言葉は,外科医にとって,「顔がよい」「性格がよい」「頭がよい」と同列に最高の褒め言葉である.誰もがその褒め言葉を言われたいと思っている.「手術が上手」とはどのような要素で成り立っているのであろうか.速いけれども上手とは思えない人もいる.大胆だけど上手とは思えない人もいる.手のスピードは速いけれど結果的に時間がかかっている人もいる.逆にスローペースなようにみえて,最終的に速い人もいる.術場の雰囲気をうまくコントロールできて上手に思わせる人もいる.上手とはとても漠然としたものだ.

 15年ほど前に,人工関節の業者から,たくさんの術者をサポートしてきた経験から「やはり展開でしょうか」という言葉を聞いた.展開がきれいであることが上手な人の特徴だという.なるほど.ちゃんとみるべきものをみせる技術はMISで行う手術でも大切であろう.よくみえない視野でゴソゴソ手術をしている姿は,ちゃんとやっていても上手な印象を受けない.関節鏡ではなおさらだ.また上手で速い人は「同じ確認を2回しない」.安全のためにダブルチェックは不可欠である.しかしダブルチェックとは,同じ方法で2回確認することではない.1つのことを異なる方法で確認することである.同じ操作を2回3回行うことは無駄な動きにみえるし,迷っているようにみえるし,スムーズに手術が運んでいないようにみえるし,おそらくそのとおりであろう.国内外の多くの人の手術をみてきた.有名な人,無名な人,さまざまな施設で手術見学をし,感銘を受けてきた.まだまだ学ぶことが多い.いつまでも上手になれないものだ.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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