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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科53巻6号

2018年06月発行

文献概要

境界領域/知っておきたい

—高齢者医療に携わる整形外科医が知っておきたい—ロコモ・サルコペニア・フレイル

著者: 帖佐悦男1

所属機関: 1宮崎大学医学部整形外科

ページ範囲:P.516 - P.522

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はじめに

 超高齢社会を迎えたわが国では,多くの人が関節や脊椎など運動器の障害による症状を訴えており,これらは加齢により一層症状の回復が困難となることから,その予防,早期発見,早期治療が喫緊の課題となっている.今回のテーマであるロコモティブシンドローム(ロコモ),サルコペニア,フレイルや運動器不安定症には運動器が関与し,おのおの密接に関連している.運動器の障害を放置すると社会参加が困難となり(表1),その結果,運動器以外の身体機能や精神機能にも影響を与える.しかし,運動器に対する人々の意識は低く,厚生労働省の調査による有訴者率1)は,男性は第1位腰痛,第2位肩こり,第5位関節痛,女性は第1位肩こり,第2位腰痛,第3位関節痛であり,多くが運動器に関する愁訴である.しかし,通院者率の高い上位5傷病の内訳は,運動器疾患では,男女それぞれ第4位と第2位に腰痛症が含まれているのみと,高い有訴者率の割に通院者率が低く,病院を受診していない人が多い.つまり本来であれば治療可能な運動器疾患が悪化し,運動器不安定症となり要支援・要介護や寝たきりとなっている人が,他疾患と比べ多く存在すると考えられる1)

 本稿では,運動器の観点からロコモティブシンドローム,サルコペニア,フレイルと運動器不安定症について概説する(表2).

参考文献

1) 厚生労働省.平成28年 国民生活基礎調査の概況(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/dl/16.pdf)
2) 日本整形外科学会.ロコモパンフレット(https://www.joa.or.jp/public/locomo/locomo_pamphlet_2015.pdf)
3) Hoshino Y. Concept of musculoskeletal ambulation disability symptom complex (MADS). Clin Calcium 2008;18:1553-8.
4) Rosenberg IH. Sarcopenia:origins and clinical relevance. J Nutr 1997;127:990S-1S.
5) Chen LK, Liu LK, Woo J, et al. Sarcopenia in Asia:consensus report of the Asian working group for sarcopenia. J Am Med Dir Assoc 2014;15:95-101.
6) Fried LP, Tangen CM, Walston J,et al. Cardiovascular Health Study Collaborative Research Group. Frailty in older adults:evidence for a phenotype. J Gerontol A Biol Sci Med Sci 2001;56:M146-56.
7) 佐竹昭介.フレイルの進行に関わる要因に関する研究(25-11)長寿医療研究開発費事業.平成27年度総括研究報告.2017.
8) Yamaguchi N, Chosa E, Yamamoto K, et al. Screening for musculoskeletal problems in Japanese schoolchildren:a cross-sectional study nested in a cohort. Public Health 2016;139:189-97.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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