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境界領域/知っておきたい
—高齢者医療に携わる整形外科医が知っておきたい—ロコモ・サルコペニア・フレイル
著者: 帖佐悦男1
所属機関: 1宮崎大学医学部整形外科
ページ範囲:P.516 - P.522
文献購入ページに移動超高齢社会を迎えたわが国では,多くの人が関節や脊椎など運動器の障害による症状を訴えており,これらは加齢により一層症状の回復が困難となることから,その予防,早期発見,早期治療が喫緊の課題となっている.今回のテーマであるロコモティブシンドローム(ロコモ),サルコペニア,フレイルや運動器不安定症には運動器が関与し,おのおの密接に関連している.運動器の障害を放置すると社会参加が困難となり(表1),その結果,運動器以外の身体機能や精神機能にも影響を与える.しかし,運動器に対する人々の意識は低く,厚生労働省の調査による有訴者率1)は,男性は第1位腰痛,第2位肩こり,第5位関節痛,女性は第1位肩こり,第2位腰痛,第3位関節痛であり,多くが運動器に関する愁訴である.しかし,通院者率の高い上位5傷病の内訳は,運動器疾患では,男女それぞれ第4位と第2位に腰痛症が含まれているのみと,高い有訴者率の割に通院者率が低く,病院を受診していない人が多い.つまり本来であれば治療可能な運動器疾患が悪化し,運動器不安定症となり要支援・要介護や寝たきりとなっている人が,他疾患と比べ多く存在すると考えられる1).
本稿では,運動器の観点からロコモティブシンドローム,サルコペニア,フレイルと運動器不安定症について概説する(表2).
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