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著者: 松山幸弘
所属機関:
ページ範囲:P.658 - P.658
文献購入ページに移動今回,誌上シンポジウムとして「膝前十字靱帯のバイオメカニクス」が取り上げられた.私の専門は脊椎脊髄外科であるが,門外漢の私にとっても大変興味深い内容になっている.ここまで進歩したかと驚きを隠せない.脊椎脊髄手術との大きな違いは,ほぼ正常な可動域や筋力,安定性が保てるような再建術が可能となっている点である.私が研修医になったのは1987年で,すでに30年が経過しているが,卒業した当時を思い出すと,まだ膝の関節鏡がやっと始まった頃で,とても前十字靱帯の再建術などできるような時代ではなく,半月板縫合がやっとであったように思う.このシンポジウムを読むといかに膝機能解剖学の進歩やバイオメカニクス,そして受傷機転をmodel based image matching法などを用いての評価解析が進み,正常機能を持った膝前十字靱帯が再建されているかがよく理解できる.
これまでスポーツ選手の中でこの膝前十字靱帯損傷を負って引退を余儀なくされた方も多い.野球ではあの清原選手も膝前十字靱帯損傷から引退への道をたどったのは記憶に新しい.今回のシンポジストは,皆さん多くのトップアスリートの治療を手がけているスペシャリストばかりであろう.こだわりが文章の中から伝わってくる.いかに正常機能に近づけた膝前十字靱帯を再建できるか,これはトップアスリートの運命を左右する大きな因子であることには間違いはない.
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