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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科54巻10号

2019年10月発行

文献概要

症例報告

感染を伴う広範軟部組織欠損に対し創内持続陰圧洗浄療法で治療した1例

著者: 谷藤航1 多田広志1 三又義訓1 西田淳2 土井田稔1

所属機関: 1岩手医科大学整形外科学講座 2東京医科大学整形外科学講座

ページ範囲:P.1075 - P.1080

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 良性軟部腫瘍術後の感染を伴った広範軟部組織欠損に対して創内持続陰圧洗浄療法を行い,良好な肉芽形成を得て分層植皮で治癒した症例を経験したので報告する.症例は52歳男性.外傷を契機にした左大腿外側部の腫瘤が急に増大し,自壊部から膿汁と血腫が噴出したため,早期の広範切除を行い,病理診断確定後に再建する方針とした.広範切除で30×25cmの皮膚欠損を生じ,局所陰圧閉鎖療法を導入した.病理学的診断は慢性拡張性血腫であった.経過中,感染を生じデブリドマンを行って,創内持続陰圧洗浄療法に変更した.その後,大腿骨大転子を十分に覆う肉芽形成を認めたため,初回手術から40日後に分層植皮術を施行し良好な生着を得た.本邦では感染創に対して2017年から創内持続陰圧洗浄療法の治療装置が使用可能となったが,長期間の閉鎖療法を行う際には適切な治療を選択することで,より低侵襲な再建法の検討が可能になると考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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