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雑誌目次

雑誌文献

臨床整形外科54巻3号

2019年03月発行

雑誌目次

誌上シンポジウム サルコペニアと整形外科

緒言 フリーアクセス

著者: 大鳥精司

ページ範囲:P.234 - P.234

 筋減少症,サルコペニアとは加齢や疾患により,全身の筋量が減少することで身体機能の低下が起こることである.サルコペニアの女性は非サルコペニアの女性と比べて,骨粗鬆症が13倍高く,骨折が3倍多いとされる.この理由として,骨粗鬆症に関連するビタミンD受容体は筋にも存在し,ビタミンDの低下は,直接的に筋量低下をもたらす.閉経後骨粗鬆症患者では低ビタミンD血症,低骨量,低筋量,腰痛の頻度が高く.各々の因子の相関が報告されている.この観点からも,サルコペニアにおける筋量低下は大きな問題点であり,特に骨粗鬆症脊柱後弯に関与する体幹筋の重要性は明らかである.

 サルコぺニアの診断にあたり,dual energy x-ray absorptiometry(DXA)法がgold standardであった.1998年にBaumgartnerらは四肢の筋量値に注目し,サルコぺニアの明確な定義を提唱した.内臓を含む体幹筋量測定はDXAでは困難であるが,四肢の場合,脂肪量と骨量を除いて筋量とすることができるために四肢筋量を使用するのが一般的である.European Working Group on Sarcopenia in Older People(EWGSOP)は,6mの歩行テスト,筋量の測定,握力の測定結果による診断アルゴリズムを確立したが,この場合も筋量は下肢筋量を測定する.2014年ASIAN Working Group for Sarcopenia(AWGS)によってアジア人特有の診断基準が作成されたが同様である.以上から,体幹筋量をベースとしたサルコペニアの定義は存在しない.

整形外科からみたサルコペニアの基礎的病態

著者: 稲毛一秀 ,   折田純久 ,   志賀康浩 ,   古矢丈雄 ,   牧聡 ,   大鳥精司

ページ範囲:P.235 - P.239

 超高齢社会における最近のtopicとしてサルコペニアがあり,高齢者の運動機能低下の要因として注目を集め様々な研究が実施されている.加齢性サルコペニアには筋再生能の低下,内分泌機能異常,微小炎症(炎症性サイトカイン),ビタミンDおよびビタミンD受容体,骨粗鬆症など様々な誘因がある.さらにそれらの誘因は相互作用を有しており,複雑な病態をなしていることを理解することが重要である.

整形外科からみたサルコペニアの臨床的病態

著者: 酒井義人 ,   渡邉剛 ,   若尾典充 ,   松井寛樹 ,   富田桂介 ,   飯田浩貴

ページ範囲:P.241 - P.247

 サルコペニアは老年内科医を中心として提唱された概念であり,その診断基準には骨格筋量のほかに筋力,歩行速度を考慮することが求められている.一方,われわれ整形外科医において加齢により骨格筋が減少することは,高齢者の日常生活に多大な影響を及ぼすことは十分理解する必要があり,近年,整形外科疾患やその治療成績とサルコペニアの関連についての報告も散見される.整形外科診療におけるサルコペニアの意義を考え,自験例を提示しながら問題点と今後の展望について提言したい.

—整形外科医にわかりやすい—サルコペニアの定義と問題点

著者: 星野雅俊 ,   大山翔一朗

ページ範囲:P.249 - P.253

 運動器専門家にとって近年注目されるサルコペニアの定義と診断基準を理解しておくことは必須である.その定義は「高齢期にみられる骨格筋量の低下と,筋力もしくは身体機能の低下」であり,Asian Working Group for Sarcopenia(AWGS)による診断基準を用いることを推奨されている.しかし現時点でサルコペニアの概念や診断において,運動器疾患の取り扱いが決まっていない.脊椎疾患,関節疾患は特に筋力(握力)と身体機能(歩行速度)の診断感度に大きな影響を与えるため,その取り扱いの策定は大きな課題である.

高齢者におけるサルコペニアと脊柱変形・腰痛の関連

著者: 江口和 ,   豊口透 ,   鈴木宗貴 ,   折田純久 ,   稲毛一秀 ,   大鳥精司

ページ範囲:P.255 - P.263

 超高齢社会の昨今,脊柱後弯変形で日常生活に支障を来す患者は増加している.骨格筋量に着目して,高齢者の後弯変形に伴う腰痛とサルコペニア・骨粗鬆症の関与について述べた.骨盤-腰椎支持機構である体幹・四肢骨格筋量の低下が脊柱変形進行と腰痛増強に関与することが示唆された.骨密度は四肢筋量と相関しており,加齢,力学的負荷の減少,ビタミンD欠乏など骨粗鬆症の病因はサルコペニアにも深く関わっている可能性がある.運動療法,栄養療法(必須アミノ酸),薬物療法(ビタミンD)のような骨格筋維持・増強を促す保存療法の有効性が期待され,さらなる検討を要する.

サルコペニアに対する栄養,薬物,運動療法

著者: 宮城正行

ページ範囲:P.265 - P.269

 高齢化率21%を超えた超高齢社会を迎えた本邦において,厚生労働省が掲げる「健康日本21」の中心課題である健康寿命の延伸が急務となっており,われわれ整形外科医が担う役割は大きい.近年注目を集める,筋肉量が低下し,筋力または身体機能が低下した状態であるサルコペニアは,疫学や関与する因子に関する研究は進んでいるが,いまだ有効な治療,予防法については確立されていない.本稿では,治療,予防法として期待される栄養,薬物,運動療法について,ビタミンD,マイオスタチン,高強度筋力トレーニングというキーワードを中心に詳述する.

サルコペニア:脊柱変形の病態と外科治療

著者: 渡辺慶 ,   北村拓也 ,   長谷川和宏 ,   遠藤直人

ページ範囲:P.271 - P.278

 サルコペニアは中年期以降に下肢の抗重力筋力の低下に始まり,その後,体幹筋力の低下を来し,特に40歳代以降の女性で問題となる.腰椎前弯減少が主因となる成人期の脊柱変形では多裂筋や大腰筋など体幹の深層筋力低下が原因となり,これらの機能保持が重要となる.体幹筋機能不全を有する脊柱変形に対する矯正手術においては,重心線の偏位を正常化させる矯正固定が,運動機能改善のために重要となる.しかし,体幹筋をはじめとした全身の骨格筋力は術後成績にも影響するため,これらの術前評価,周術期の適切な介入が重要となる.

論述

新生児・乳児健診における発育性股関節形成不全(DDH)と筋性斜頚診断の発生率および正診率の検討

著者: 鵜養拓 ,   海老原吾郎 ,   渡辺雅彦

ページ範囲:P.281 - P.284

目的:新生児・乳児健診における発育性股関節形成不全(DDH)と筋性斜頚の診断率・正診率について検討した.

対象と方法:2006〜2016年に当院で出生し新生児・乳児健診を受診した5,913例を対象とした.

結果:新生児健診において股関節陽性所見15例,乳児健診59例であった.新生児健診では頚部腫瘤を指摘された症例はなかったが,乳児健診では4例であった.

結語:新生児健診に比べ乳児健診ではDDH,筋性斜頚検出の感度が上昇していた.筋性斜頚の発生率は経腟分娩に比べ帝王切開で低下しており,出産時の胸鎖乳突筋の損傷回避が影響している可能性が考えられた.

手根管症候群の母指球筋萎縮に対する肉眼的評価と超音波検査による評価の対比

著者: 名倉一成 ,   金谷貴子 ,   原田義文 ,   鷲見正敏 ,   乾淳幸 ,   美舩泰 ,   黒田良祐

ページ範囲:P.285 - P.288

背景:手根管症候群(CTS)の母指球筋萎縮について肉眼的評価と超音波検査による評価の対比を行った.

対象と方法:手術を施行したCTS患者70手を対象とし,術前の母指球筋萎縮の肉眼的評価と超音波検査による母指球筋の筋厚との比較を行い,さらに健常者との比較を行った.

結果:肉眼的評価での萎縮の進行につれて超音波検査による短母指外転筋と母指対立筋の筋厚値の減少がみられた.

まとめ:超音波検査を用いた評価でCTSの母指球筋萎縮の肉眼的評価の定量化が可能である.

調査報告

肩関節鏡視下手術における手術用グローブの材質の違いによるピンホール発生状況の調査

著者: 金子誠 ,   高橋憲正 ,   松木圭介 ,   横山健一 ,   高原紀幸 ,   菅谷啓之

ページ範囲:P.289 - P.292

背景:関節鏡視下手術において手術用グローブの材質の違いでピンホール発生率に差があるか調査を行った.

対象と方法:手術後に天然ゴム製142枚,ポリイソプレン製48枚,ポリクロロプレン製118枚のグローブを回収し,水密性試験でピンホールの部位の観察を行った.

結果:ピンホール発生率は,天然ゴム製で142枚中30枚(21%),ポリイソプレン製48枚中25枚(52%),ポリクロロプレン製118枚中6枚(5%)であり,ポリクロロプレン製で有意に発生率が低かった(P<0.001).

まとめ:肩関節鏡視下手術におけるピンホール発生率はグローブの材質により差があった.

整形外科/知ってるつもり

足病医:Podiatrist

著者: 門野邦彦 ,   田中康仁

ページ範囲:P.294 - P.298

足病医(Podiatrist)とは

 Podiatristとは,アメリカ合衆国(以下,米国)において医療に従事する資格の1つである.米国で,日本の「医師」に相当するものはMD(Medicinæ Doctor)とDO(Doctor of Osteopathic Medicine)であるが,Podiatristの資格は足部に限定して医療が行えるものである.歯科医師が「歯」に関連した病態であれば,診断,検査,治療,投薬,手術などの医療行為全般が行えることと似ており,「足の歯医者さん」という比喩が理解しやすいのではないかと思われる.

 Podiatristの正式な称号は,Doctor of Podiatric MedicineでありDPM.と略される.そのほか,podiatric physician,podiatric surgeon,chiropodist,foot specialist,foot doctorなど多くの呼び方がみられるが,すべて同一の資格を指す言葉である.特に,chiropodistは古い呼び名であり,米国ではあまり使用されていないが,カナダやオーストラリアでは今も使われているという.ヨーロッパではpodologistと呼ばれる職種が存在する.

パーキンソン病の特徴的症候と治療アルゴリズム—手術の適応について

著者: 渡辺宏久 ,   原一洋 ,   勝野雅央 ,   祖父江元

ページ範囲:P.300 - P.304

はじめに

 パーキンソン病(Parkinson's disease:PD)は,アルツハイマー病に次いで多い神経変性疾患である.加齢とともに頻度は増加し,障害調整生命年からみた負担度も世界的に増大の一途である1).病理学的にはαシヌクレインを主要構成成分とするLewy小体の出現と,それに伴う黒質神経細胞の脱落を特徴とする.最近の研究により,黒質神経細胞脱落が生ずる前に,腸管や心臓交感神経など末梢自律神経系や嗅神経を中心として,全身性にαシヌクレイン病理が出現すること,脳では延髄,橋,中脳,大脳辺縁系,大脳新皮質へと病変が進展する症例の多いことが明らかとなった2).臨床的にも病理変化に呼応して,パーキンソニズムの出現する20年以上前から便秘をはじめとした自律神経不全,嗅覚低下,レム睡眠行動異常,うつなどを認める.一連の流れを受け,国際パーキンソン病・運動障害疾患学会(MDS)はProdromal PDの研究的診断基準と3),PDの臨床的診断基準を定めた4)

 適切な外科的治療を行うには,正確なPDの診断が大前提であるため,まずMDSの提唱したPDの臨床的診断基準についてアルゴリズムを含めて紹介する.次に,PDの代表的手術療法である難治性運動合併症に対する脳深部刺激療法やL-ドパ持続経腸療法(device aided therapy:DAT)について,『パーキンソン病診療ガイドライン2018』のアルゴリズムに沿って,その適応病態を概説する.最後に,PDでは椎体骨折や頚椎症性脊髄症に対する手術に加え,一部の症例で特徴的に認める姿勢異常に対する矯正手術,さらにはすくみ足に対する脊髄刺激術など整形外科的アプローチが世界的に試みられている.現時点では,その適応について,エビデンスとしてアルゴリズムを示すことはできないものの,整形外科医と脳神経内科医が共有すべきと思われる特徴的症候,アルゴリズム,手術に関し,誌面の許す範囲で最近の知見を整理し,提示する.

最新基礎科学/知っておきたい

側弯検診システムの研究開発

著者: 須藤英毅 ,   小甲晃史 ,   安倍雄一郎 ,   岩崎倫政 ,   金井理

ページ範囲:P.306 - P.310

 脊柱側弯症は学童期の発症頻度が高く,進行すると手術治療を要するため,学校検診における早期発見と装具治療が必要とされている.一方で,目視検査での発見率の低さや学校医の負担が問題視されており,その解決のため,我々は,市販のデプスセンサで背表面を3次元計測し,理想的な左右対称形状からの偏差を評価することで,脊柱側弯症の徴候を短時間・高感度に検出できる診断支援システムを開発した.本システムが出力する評価指数とX線撮影で得られた側弯角が高い相関を持ち,診断に有用であるという原理検証結果も得られたため,現在は医療機器としての薬事承認申請へ向けた研究開発へと移行している.

連載 いまさら聞けない英語論文の書き方・7

英語論文の基本構造とその対策① まずは主旨の確認とFigureの用意

著者: 堀内圭輔 ,   千葉一裕

ページ範囲:P.312 - P.314

 今回から,より英語論文執筆に即した内容に入ります.英語論文執筆に関する良書はすでにあまた出版されていますが,本連載の趣意どおり,“いまさら聞けない”,もしくは“誰も教えてくれない”基礎的な内容を若手医師・研究者を対象に紹介します.多くの人にとって,英語論文執筆に着手するのは苦痛です.特に英語論文初心者はどこから手を付ければよいかわからず,ついつい先延ばしにしがちです.英語論文執筆にあたっては,それなりの準備が必要です.

症例報告

シーズン中の初回肩関節前方亜脱臼に対し,鏡視下Bankart修復術を施行したプロ野球選手の1例

著者: 大澤一誉 ,   鈴木昌 ,   西中直也

ページ範囲:P.315 - P.319

背景:シーズン中の初回肩関節前方亜脱臼に対して手術を施行し,翌シーズンに完全復帰を遂げたプロ野球選手の1例について報告する.

症例:27歳男性,右投げ右打ちの外野手.シーズン中盤に非投球側の左肩関節前方亜脱臼を受傷した.左肩痛が続き,復帰後の確実性を重視し鏡視下Bankart修復術を施行した.術後8カ月の開幕時からレギュラーで試合に出場し,脱臼不安感はなく,前年までと同等の好成績を残した.

まとめ:初回脱臼,シーズン中のプロ野球選手であっても,選手の背景を踏まえたうえで手術療法も考慮すべきである.

大腿切断術後の大腿骨転子下骨折に対して骨接合術を実施した1例

著者: 小田修平 ,   柚之原順誠 ,   杉村恒人

ページ範囲:P.321 - P.324

 下肢切断術後の大腿骨近位部骨折の報告は少なく,今回,大腿切断術後の大腿骨転子下骨折の1例を経験したので報告する.

 右大腿切断術後の44歳男性が転倒し体動困難となり,単純X線で右大腿骨転子下骨折を認めた.大腿切断術後のため術前下肢牽引できず,手術室で鋼線牽引を実施し,術前計画どおり遺残大腿骨内に収まる200mm長の髄内釘で骨接合術を施行した.術後早期に大腿の腫脹軽減を認め,早期離床し義足歩行することが可能となった.

 下肢切断術後の大腿骨近位部骨折は術前計画・インプラントの選択が重要である.

小児肘関節前方脱臼骨折(鉤状突起骨折・肘頭骨折)の1例

著者: 林健太郎 ,   栩木弘和 ,   梶川慶太 ,   丘雄介 ,   梅津太郎 ,   古川満 ,   菊池謙太郎 ,   奥山邦昌

ページ範囲:P.325 - P.329

 患者は10歳女児で,走っていて転倒し左手をつき受傷した.左肘の疼痛を主訴に当院救急外来を受診し,単純X線像,CT像で肘関節前方脱臼骨折(尺骨鉤状突起骨折・肘頭骨折)の診断となった.徒手整復術を施行するも整復困難であり,観血的整復固を行った.仰臥位で後方アプローチで展開したところ整復を阻害をしていたのは鉤状突起骨片であり,縫合糸とKirschner鋼線で骨片の整復固定を行い,肘頭骨折に対して骨接合術を行った.術後26カ月で日本整形外科学会肘機能評価法は100点であり,良好な治療成績が得られた.

書評

京都ERポケットブック フリーアクセス

著者: 草場鉄周

ページ範囲:P.279 - P.279

 大都市の総合病院の救急外来はもちろんのこと,中小病院の外来さらには病棟での急変対応,また,郡部やへき地の診療所において遭遇する準救急的な健康問題など,われわれプライマリ・ケアに携わる医師は多様な健康問題に対し,病歴,身体診察,簡単な検査で対応する基礎体力を身につける必要がある.評者も,患者でごった返す総合病院の救急外来を一人でさばく経験,北海道の郡部で一人救急搬送される患者に対応する経験,訪問診療を行う在宅患者に想定外の急変があり慌てて往診する経験などを持ち,これまで数多くの救急に対応してきた.大事なのは,救急対応において一定のパターンを体得しつつ,例外的状況に対する鋭敏な感覚を養うことだと思う.そのために,経験ある指導医から学ぶことの価値は計り知れないが,そうした指導医が在籍する医療機関はそう多くないのが現実である.

救急整形外傷レジデントマニュアル 第2版 フリーアクセス

著者: 千葉純司

ページ範囲:P.330 - P.330

 藤田医大病院は,毎年日本で最も多くの救急搬送患者を受け入れており,その中で,中心的役割を果たしているのが,田島康介教授である.田島教授のより早く,より正確な診察,診療には,われわれ整形外科医も,畏敬の念を抱いている.欧米では「外傷学」,「外傷整形外科学」が確立されているが,この分野においてわが国は,医療後進国と言わざるを得ない.その中で,田島教授は優れた指導者として,常に後輩医師達の指導に当たっており,本書は多くの症例経験を積んできた田島教授ならではの非常に論理的な内容の解説書となっている.

 医療の対象は当然ヒトではなく人であり人間である.患者さんの人権尊重を医療行為の基本とすべきは言うまでもない.この姿勢から患者さんの信頼を得るあらゆる具体的行動が生まれる.診療技術の優劣が患者さんの治療成績や信頼関係に重要であり,高度な医療技術を維持する必然性もここから派生する.

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目次 フリーアクセス

ページ範囲:P. - P.

欧文目次 フリーアクセス

ページ範囲:P.233 - P.233

次号予告 フリーアクセス

ページ範囲:P.331 - P.331

あとがき フリーアクセス

著者: 松山幸弘

ページ範囲:P.334 - P.334

あとがき

 今回の誌上シンポジウムではサルコペニアを取り上げている.サルコペニアはRosenbergによって提唱された概念で「加齢に伴う筋量の減少」を意味しているようである.筋量の問題だけでなく,筋力と身体機能,特に歩行速度が関与している.サルコペニアの定義では歩行速度が0.8m/sで,握力が男性26kg,女性18kg以下で,さらに筋量が男性7kg/m2,女性5.7kg/m2未満であるとサルコペニアと診断される.客観的なデータで示され,また診断しやすい.われわれ整形外科医は骨量,骨密度の評価,そしてその治療を行ってきたが,筋力の評価,筋量の評価,そして身体機能の総合評価をしっかり行ってきたのだろうか?

 また筋量の増加や筋力増強,そして身体機能を増加させる治療を科学的に評価し,治療介入を行ってきたのか,いささか不安だ.

基本情報

臨床整形外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1286

印刷版ISSN 0557-0433

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