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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科54巻4号

2019年04月発行

文献概要

臨床経験

頚椎前方固定術後深部感染の臨床的特徴

著者: 尾立征一1 四方實彦1 大槻文悟2 山村知1 川口慎治1 池田周正1

所属機関: 1学研都市病院整形外科 2京都大学医学部整形外科

ページ範囲:P.413 - P.417

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 頚椎前方固定術後の深部感染は極めて稀な合併症である.当科で2006年以降に前方除圧固定術を965名に施行し,深部感染は8名で発生した.術後1カ月以降の発症が6名で,そのうちの少なくとも2名で食道穿孔を合併していた.感染症状が顕在化するよりも早い段階から嚥下障害を訴えていたが,局所の感染徴候が乏しく,気付かれなかった.感染を示唆する画像所見として,MRI・T2強調画像で椎体前方に広がる高輝度変化,CTやX線写真での移植骨・プレート周囲のfree air,移植骨の異常な骨吸収が挙げられた.再手術後,全例で感染は治癒した.感染が疑われる症例では,食道穿孔を合併している可能性も考慮し,嚥下造影や経鼻内視鏡による評価が必要で,プレート抜去と局所のデブリドマンを速やかに行うことが大切である.

参考文献

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7) 川口慎治,四方實彦,尾立征一.頚椎前方固定術後,慢性経過で生じた食道穿孔の2症例.第52回日本脊椎障害医学会誌 2017;11:16-7.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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