臨床整形外科54巻7号

2019年07月発行

書評

救急画像ティーチングファイル フリーアクセス

著者： 野田英一郎¹

所属機関： ¹福岡市民病院救急科

ページ範囲：P.711 - P.711

　本書は米国の放射線医によるティーチングファイル集を翻訳したものである．ティーチングファイルとは放射線科による教育方法の1つとされており，典型的な画像，めずらしい画像を集積し，学生や研修医教育だけでなく，放射線科レジデントや非放射線科専門医に読影のポイントなどを指導する際の症例集である．日本でも放射線科医の常勤する病院の多くで，症例集までは作らずとも，勉強会などで取り入れられている手法と思われるが，原著出版社の序文によれば，本書のような包括的なティーチングファイルの出版はアメリカでもめずらしいそうである．

　監訳者の船曵知弘先生は日常診療の傍ら，DMAT隊員として災害時対応，教育，またJPTEC，ITLS，JATEC，ICLS，JMECC，MCLSなど，救急関係の各種off-the jobトレーニングコースの世話人やインストラクターを務めるとともに，放射線科領域でもDIRECT研究会を主催し，世界中から救急IVRでの講演を依頼される，日本の救急のみならず，救急放射線科領域を牽引する第一人者である．