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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科54巻7号

2019年07月発行

文献概要

症例報告

虫垂破裂を契機に後頚部まで波及した巨大腸腰筋膿瘍の1例

著者: 池田大樹1 加藤雅敬1 林哲平1 田島秀之1 長谷川貴之1 吉山晶1 藤田貴也1 森岡秀夫1 有野浩司1

所属機関: 1国立病院機構東京医療センター整形外科

ページ範囲:P.745 - P.750

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 虫垂破裂により後頚部まで及ぶ巨大腸腰筋膿瘍の1例を経験したので報告する.症例は71歳の男性,右腰痛と体動困難を主訴に受診し,腸腰筋膿瘍と診断した.CT検査で腫大した虫垂に隣接して腸腰筋膿瘍が認められ,さらに膿瘍は右後腹膜腔および右背部から後頚部にかけて波及していた.一期的に膿瘍に対して右側腹部,背部からデブリドマンを施行し軽快した.後に腹腔鏡下虫垂切除術を施行したところ,虫垂は横筋筋膜と癒着し,さらに横筋筋膜に欠損像が認められたため,虫垂破裂が原因で膿瘍が右背部から後頚部へ波及したものと考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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