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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科55巻10号

2020年10月発行

文献概要

症例報告

化膿性脊椎炎術後に非閉塞性腸管虚血症を発症した1例

著者: 佐藤宏陽1 相澤俊峰1 橋本功1 菅野晴夫1 衛藤俊光1 半田恭一1 井樋栄二1

所属機関: 1東北大学整形外科学教室

ページ範囲:P.1177 - P.1180

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背景:非閉塞性腸管虚血症(non-occlusive mesenteric ischemia:NOMI)は術後合併症として生じ得る急性腸管虚血症の1つで致死率が高い.救命には早期診断が必須だが,整形外科領域では報告例が少なく,一般には認識されていない.

目的:症例報告

症例:糖尿病がある66歳女性の腰椎化膿性脊椎炎に対し,前方病巣搔爬および骨移植を行った.術後6時間で血圧が低下し,腹部膨満感などを訴えた.術後18時間の造影CTでNOMIと診断したが,救命し得ず術後42時間で死亡した.

考察:心不全,透析,糖尿病,感染症などの危険因子を有する患者では,術後に血圧低下や循環血漿量減少が重なるとNOMIを発症する可能性があるので注意を要する.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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