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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科55巻12号

2020年12月発行

文献概要

視座

脊柱変形手術についての私見

著者: 髙橋淳1

所属機関: 1信州大学医学部運動機能学教室

ページ範囲:P.1289 - P.1289

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 患者さんに手術を提案する時,私は「自分だったらこの手術を受けたいか?」「自分の身内だったらこの手術を受けさせたいか?」を常に考えている.

 2005年に信州大学整形外科脊椎班のチーフを拝命し,以来側弯症の手術の執刀を任されてきた.当時,韓国のSe-Il Suk教授が開発し,米国のLawrence G Lenke教授が世界に広めた「Segmental pedicle screw fixation」が主流になりつつあった.2004年の国際頚椎外科学会の前に,Lenke教授の手術を見学させていただき,本手技を信州大学に導入しようと考えた.彼らの技術は素晴らしかったが,米国で主流だったフリーハンドでの椎弓根スクリューの刺入は,一歩間違うと脊髄損傷,大動脈損傷,肺損傷のリスクがあった.また「高度に進行した大きくて硬いカーブにはたくさんスクリューを刺入する必要があるが,中等度までの軟らかいカーブに対してはすべての椎骨にスクリューを刺入する必要がないのではないか?」と疑問を抱いていた.1998年当時からリウマチ頚椎を中心にナビゲーションを用いた椎弓根スクリューの実績があったため,「自分が側弯症の執刀ができるようになったら,ナビゲーションを使ってより安全確実に,必要最小限のスクリューで矯正したい」と感じていた.2005年にskip pedicle screw fixationを考案し,さらに,ナビゲーションの時間短縮を実現したmulti-level registration法を併用した矯正手技を,2010年の雑誌「Spine」に報告した.また,「自分の娘ならこのような手術をしたい」との思いから,同種骨や人工骨は使わず局所骨のみを使っている.思春期特発性側弯症に対する後方矯正固定術において,今のところ偽関節は経験していない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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