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長掌筋腱との誤認による正中神経の採取
著者: 多田薫1
所属機関: 1金沢大学整形外科
ページ範囲:P.181 - P.181
文献購入ページに移動長掌筋腱は腱移植術や靱帯再建術を行う際の移植片として広く用いられている.長掌筋腱と正中神経を誤認して採取するなどあり得ないというのが一般的な認識だが,過去には長掌筋腱との誤認による正中神経の採取例が10例報告されている.今回,著者らがアメリカ手外科学会の会員を対象とした調査を行ったところ,このような正中神経の誤認採取例が19例存在していたとのことである.
誤認採取が発生した手術は肘の内側側副靱帯再建術が7例,母指CM関節の靱帯再建術が4例,腱の再建術が3例,母指MP関節の側副靱帯再建術が2例,その他が3例であった.19例中7例は手術中に誤認採取であると判明したが,12例は正中神経が長掌筋腱と誤認されたまま移植片として使用されていた.また,術後の初回診察時に誤認採取であると判明したのは12例中2例のみであり,3例は術後1年以降に初めて誤認採取が判明していた.
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