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連載 やりなおし! 医療制度 基本のき・5
医学研究と利益相反
著者: 長谷川利雄12
所属機関: 1長谷川整形外科医院 2日本臨床整形外科学会
ページ範囲:P.676 - P.677
文献購入ページに移動1970年代に,米国連邦政府の資金を用いた科学研究の成果は公共の知的財産とされ,誰でもが使用可能であり,米国は商品製造を活かす面において日本や欧州に遅れをとっていた.業を煮やした米国連邦政府は,公的資金による研究成果を研究機関・個人の知的財産にできるBayh-Dole Act(バイドール法)を1980年に制定した.その結果,大学における特許取得件数,TLO(Technology Licensing Organization;技術移転機関),ライセンス収入・件数,民間による大学への資金提供額が大幅に増加した.バイオテクノロジー分野のCohen-Boyer特許(スタンフォード大学,1980年)は,バクテリアを利用した遺伝子組み替え技術の特許であり,約2億5000万ドルのライセンス料をもたらしている.世界に冠たる情報伝達系のYahooやGoogleもスタンフォード大学の大学院生による起業であった.わが国でも1998年に「大学等技術移転措置法」,1999年に「産業活力再生特別措置法」(日本版バイドール条項)が制定され,産学連携研究が盛んになった.
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