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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科56巻10号

2021年10月発行

文献概要

視座

オリンピック騒動に思う

著者: 谷口昇1

所属機関: 1鹿児島大学大学院医歯学総合研究科整形外科学

ページ範囲:P.1215 - P.1215

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 昨年からのコロナ禍であるが,一向に収まる気配がない.本稿を書いている時点で第5波の到来が懸念され,オリンピック直前にして遂に東京都で4度目の緊急事態宣言が発令された.オリンピック開催のため,すべてが犠牲にされている感が否めない.IOCとの契約の中に中止に伴う莫大な違約金の項目がある,あるいは誘致活動に注ぎ込んだ相当な額を回収せざるを得ないなど,国民に伝えられない事情が往々にしてあるのであろうが,その都度営業時間の短縮要請に振り回される飲食店はたまったものでない.しかも今回の発令期間はオリンピック開催期間を丸々含んでおり,まさにオリンピックを滞りなく行うための自粛期間ともいえる.オリンピックなどなければよかったということになるが,今となっては後の祭りである.

 オリンピックを開催することで潤う人たちは必ずいるはずであり,政府に働きかけて強力に開催を推進しているに違いない.政府は,次の選挙で全面的な協力を得られることと,一部恩恵に預かることを見返りに,彼らに対して忖度した施策を行っても不思議ではない.いわゆる「大人の事情」ということになろうが,それらは国民全体の利益とはかけ離れた次元の話である.そして,最終的にその皺寄せが及ぶのは政府に忠直な国民ということになる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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