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CLAPとは
骨軟部感染症の治療に難渋するのは,病巣の血流が悪く血腫など死腔が多く存在するため,経静脈的な抗菌薬は局所に移行しにくいこと,さらに病巣にある骨折の内固定材料や人工関節などの金属の表面には細菌がバイオフィルムを形成し,成熟に従って抗菌薬に対して高度の耐性を獲得することが挙げられる1).いったんバイオフィルムが形成されるとその制圧には最小発育阻止濃度(minimal inhibitory concentration:MIC)の100〜1,000倍の最小バイオフィルム撲滅濃度(minimal biofilm eradication concentration:MBEC)が必要とされている2).このためその組織は取り除かない限り感染を制圧することは難しいとされている.
抗菌薬の局所投与は,経静脈的には不可能な高い濃度の抗菌薬を病巣に分布させることができ,なおかつ血中への抗菌薬の移行が少なければ全身的な合併症も引き起こさないので,骨軟部感染症に対しては有用な選択肢となる.われわれは,局所に抗菌薬を持続的に移行させる概念として抗菌薬局所持続灌流療法(continuous local antibiotics perfusion:CLAP)を提唱しており,骨髄には骨髄針からintra-medullary antibiotics perfusion(iMAP)として,軟部組織にはダブルルーメンのセイラムサンプTMチューブ(日本コヴィディエン,東京)からintra-soft tissue antibiotics perfusion(iSAP)として抗菌薬を局所に微量注入しつつ,チューブに陰圧をかけることで目的とする領域に効率よく液を誘導することで臨床応用している3).
骨軟部感染症の治療に難渋するのは,病巣の血流が悪く血腫など死腔が多く存在するため,経静脈的な抗菌薬は局所に移行しにくいこと,さらに病巣にある骨折の内固定材料や人工関節などの金属の表面には細菌がバイオフィルムを形成し,成熟に従って抗菌薬に対して高度の耐性を獲得することが挙げられる1).いったんバイオフィルムが形成されるとその制圧には最小発育阻止濃度(minimal inhibitory concentration:MIC)の100〜1,000倍の最小バイオフィルム撲滅濃度(minimal biofilm eradication concentration:MBEC)が必要とされている2).このためその組織は取り除かない限り感染を制圧することは難しいとされている.
抗菌薬の局所投与は,経静脈的には不可能な高い濃度の抗菌薬を病巣に分布させることができ,なおかつ血中への抗菌薬の移行が少なければ全身的な合併症も引き起こさないので,骨軟部感染症に対しては有用な選択肢となる.われわれは,局所に抗菌薬を持続的に移行させる概念として抗菌薬局所持続灌流療法(continuous local antibiotics perfusion:CLAP)を提唱しており,骨髄には骨髄針からintra-medullary antibiotics perfusion(iMAP)として,軟部組織にはダブルルーメンのセイラムサンプTMチューブ(日本コヴィディエン,東京)からintra-soft tissue antibiotics perfusion(iSAP)として抗菌薬を局所に微量注入しつつ,チューブに陰圧をかけることで目的とする領域に効率よく液を誘導することで臨床応用している3).
参考文献
1) Costerton JW, Post JC, Ehrlich GD, et al. New methods for the detection of orthopedic and other biofilm infections. Fems Immunol Med Mic 2011;61(2):133-40.
2) Ceri H, Olson ME, Stremick C, et al. The Calgary Biofilm Device:new technology for rapid determination of antibiotic susceptibilities of bacterial biofilms. J Clin Microbiol 1999;37(6):1771-6.
3) 圓尾明弘,大島隆司,宮 秀俊・他.iMAP(intra-medullary antibiotics perfusion)からの局所高濃度抗菌薬による骨接合後の深部感染の制圧.整外と災外2017;66(1):186-8.
4) Mottola C, Matias CS, Mendes JJ, et al. Susceptibility patterns of Staphylococcus aureus biofilms in diabetic foot infections. BMC Microbiology 2016;16:119.
5) 圓尾明弘,大島隆司,宮 秀俊・他.MRSA骨髄炎にゲンタマイシン局所投与が著効した1例—高濃度アミノグリコシドが耐性菌へ有効な根拠.中部整災誌2017;60(5):909-10.
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7) CLAP研究会.https://www.ismap-clap.com/(2021年8月22日アクセス)
8) 山裏耕平,工藤健史,圓尾明弘・他.骨髄点滴からの予防的高濃度抗菌薬投与による開放骨折の治療.骨折2017;39(4):915-9.
9) 圓尾明弘,井口貴雄,宮 秀俊・他.股関節のPJIに対するCLAPよるインプラント温存治療の有用性.日骨関節感染会誌2020;34:1-4.
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掲載誌情報