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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科56巻11号

2021年11月発行

文献概要

臨床経験

一般総合病院の整形外科におけるがん診療の実態調査—がんとロコモティブシンドロームの実際

著者: 生越章1 平野徹1 目良恒1 白旗正幸2 植木将人2 佐野博繁2 荒引剛2 鄭賢晧2 五十嵐哲也2 松本一則3 川島寛之4

所属機関: 1新潟大学地域医療教育センター・魚沼基幹病院 2魚沼基幹病院整形外科 3魚沼基幹病院放射技術科 4新潟大学大学院整形外科

ページ範囲:P.1387 - P.1393

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背景:がんとロコモティブシンドローム(がんロコモ)の概念が提唱されているが,一般病院の整形外科におけるがん診療の実情は明らかでない.

対象と方法:2015年6月〜2020年5月までの5年間に受診したがん患者の原発疾患,整形外科受診歴,受診要因,予後について診療録を用いて後ろ向きに調査した.当院では骨転移患者を整形外科で診療した場合,極力経過観察を整形外科でも継続する対応をしてきた.

結果:3,679人のがん患者のうち642人(17.5%)が整形外科を受診しており,これは整形外科受診者全体18,347人の3.5%であった.がんそのものの症状のための受診者は228例であり,死亡・転院患者83例中72例は整形外科での経過観察が終末期まで継続されていた.整形外科で施行した非腫瘍性疾患のCT検査3,946件中31例(0.8%)で偶発がんが発見されていた.

まとめ:一般病院のがん患者の17.5%が整形外科を受診し,これは整形外科受診者の3.5%であった.骨転移患者を診療した場合,整形外科医の経過観察を極力終了しない方針で対応することががんロコモの1つの実践法と思われる.整形外科医が内臓がんの発見者になることも少なくない.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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