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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科56巻2号

2021年02月発行

文献概要

視座

コミュニケーションは足りていますか?

著者: 門野夕峰1

所属機関: 1埼玉医科大学整形外科

ページ範囲:P.119 - P.119

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 2020年12月新型コロナウイルス感染症の第3波が押し寄せて,連日2,000名を超える新規感染者が報告されています.海外からはワクチンが認可され接種との話が届いていますが,安全なワクチンが日本に届くにはもう少し時間がかかるかもしれません.会食は少人数でと言われ,他人と会話する機会が少なくなったことかと思います.大学では講義はWeb配信が行われ,学生と会話することが難しくなっています.

 さて話が変わりますが,安全で安心できる医療を提供するためには,適切なコミュニケーションが重要であることは周知の事実だと思います.医師同士や看護師,セラピストとの会話,患者家族への手術説明と同意取得,さまざまな場面でコミュニケーションが取られています.これらのコミュニケーションでエラーを生じると何らかのインシデントにつながる可能性が高くなります.ノンテクニカルスキルを向上させるためにTeam STEPPS(Team Strategies and Tools to Enhance Performance and Patient Safety)を行いましょうと,医療安全業界からは号令がかかりますが,どうも現場までは届かないようです.そもそも現在では他人とのコミュニケーションは電子化され,肉声での会話がなくても情報を伝えることができます.採血,画像診断,処方,処置など医師は時間内に電子カルテに指示入力すれば,看護師が情報を拾って実施してくれます.一言も発することなく仕事が進んでいくので,あたかもコミュニケーションが取れているように勘違いしてしまいます.この流れでは,実行されて結果が見えてはじめて指示が伝わったと確認できることになっています.急な指示変更などでは,看護師による自主的な情報の拾い上げは行われず,指示は伝わりません.「指示を変更したから確認しておいて」との一言があるかないかで,大きな違いが生まれます.紙カルテ時代に研修した自分は当たり前のことと思っていましたが,周りでは「電子カルテに入力したのに何でやってないんだ!」「時間を守ってないからでしょう!」「こっちは忙しんだから時間内にできないだろ!」「そんなきつい口調で…パワハラです!」なんて言葉が飛び交っているような….

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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